レベニューマネジメントで考えるホテル開発戦略

レベニューマネジメントと言えば、日々のオペレーションや需要に合わせた価格設定などが思い浮かぶことでしょう。

もちろん、それらも大事なのですが、もっとホテル開発の初期段階からできることもあるんです。

この記事では、ホテル開発の初期段階に取り組むべきレベニューマネジメントの考え方について、具体的な事例や方法を交えながら解説します。

次のような方は特に必見です。

✔これからホテルを開発しようと思っている人

✔まだごく初期段階のホテルを開発中の人

✔将来的に2号店のホテルを開発したい人

できるだけ早い段階からレベニューマネジメントの視点を持つことで、より収益性の高いホテルを実現しましょう。

ホテル開発の初期段階からレベニューマネジメントを考える

初期段階からレベニューマネジメントを意識する重要性

数多くのホテルをマネジメントする会社Xotelsによると、ホテル開発のできるだけ早い段階でマネジメント介入した方がその後の売上と収益性が高いと言われています。

例えば、まだコンセプトを検討する段階にあるホテルと、すでに開業直前のホテルとでは、前者の方がレベニューマネジメント効果が大きいのです。

つまり、初期段階からレベニューマネジメントの視点を取り入れ、ホテル開発に反映させることが、収益アップにつながるということですね。

しかも、この収益アップはお小遣い程度というものではなく、10-25%の収益アップが見込めます。ホテル経営者は絶対に見逃せません。

ホテル開発の初期段階におけるレベニューマネジメントの視点は、強いROI(費用対効果)を実現するホテルを作るために不可欠なのです。

レベニューポテンシャルを高めるべし

ホテルを開発する際に、まず考慮すべきなのが収益性です。

そのためには、ホテルの持つレベニューポテンシャルを高めることが重要です。

レベニューポテンシャルとは?

レベニューポテンシャルとは、ホテルが生み出せるお金の最大値のこと。

同じホテルでもこのポテンシャルの違いで、収益に大きな差が生まれます。

次で具体的に見てみましょう。

具体的な収益アップ効果

ここでは、100室のホテルを想定します。

ケースⅠでは、部屋タイプを3つとし、以下のように部屋数と値段を設定しました。

タイプ別の部屋数と値段一覧

このホテルのレベニューポテンシャルは、1年間稼働率100%で次のようになります。

¥456,250,000= ((60室x¥10,000)+(30室×¥15,000)+(10室×¥20,000))×365日

一方、ケースⅡでは、部屋タイプを6つとし、以下のように部屋数と値段を設定しました。

レベニューポテンシャルの高い部屋価格表

このホテルのレベニューポテンシャルは、1年間稼働率100%で次のようになります。

¥501,875,000=((30室x¥10,000)+(30室×¥12,500)+(15室×¥15,000)+(15室x¥17,500)+(5室×¥20,000)+(5室×¥22,500))×365日

ケースⅠとケースⅡの差は¥45,625,000となり、なんと10%も差が生じます。

同じ100室のホテルでもレベニューポテンシャルの違いによって、1年間で約4500万円も収益が変わるのです。

レベニューポテンシャルを高める効果をおわかりいただけたでしょうか?

さまざまな部屋タイプを用意しよう

前述の具体例で、部屋タイプを増やしさまざまな価格設定をすることで、レベニューポテンシャルを高められることがわかりましたね。

ホテル開発の初期段階では、ちょっとした工夫でさまざまな部屋タイプを作れます。

例えば、次のようなことが簡単に可能です。

  • 色々な広さの部屋を設計する
  • 各部屋に追加ベッドを置けるスペースを確保する
  • 隣り合う部屋をつなげられるようにする
  • さまざまな壁紙の色や材質を取り入れる
  • 同じ間取りを各フロアに設置する…etc

これらはいったん完成したホテルでは難しいですが、初期段階ではほとんど追加コストがかからずにできます。

レベニューポテンシャルを踏まえて、ホテルを設計・開発しましょう。

もう一度チェックすべきこと

したがって、ホテルの開発の初期段階では、次のことを何度も検討および熟考しましょう。

  • 何種類の部屋タイプが必要?
  • ゲストが気軽にアップセルしてしまうような、さまざまな価格の部屋タイプがあるか?
  • 部屋タイプの理想的な在庫バランスは?
  • 部屋タイプを、スタイル別、サイズ別に分類する基準は?
  • アメニティや眺望といった要素で、さらに部屋タイプを増やせるか?…etc

小さなホテルにも適用できる?

さて、これまで述べてきた部屋タイプの細かい分類や部屋のデザイン性といった方法は、リゾートホテルや高級ホテルにしかできないと思っていませんか?

予算の限られたホテルや小規模ホテルでも、工夫次第で効果を発揮できます。

小さなホテルの事例

34室のシティホテルの事例を紹介します。

部屋タイプを3種類から5種類に増やしたことで、ADR(客室平均単価)を10%~15%も増加させることができました。

格安ホテルでは、壁紙の張り替えやインテリアの充実といった大がかりな部屋タイプの創出は難しいかもしれません。

そこで、部屋タイプの名前に”+”や”plus”を追加する方法がおすすめです。

たったこれだけで、ちょっと特別感を演出でき、ADRを押し上げることができます。

こういった具合に。

  • スタンダード
  • スタンダード +
  • スタンダード ++
  • スタンダード +++

いかがでしょうか?

こんなに簡単に部屋タイプを増やすことができるのです。

”+”を付けた部屋タイプには、無料アメニティを充実させたり、ウェルカムドリンクの提供、高層階という特典を付ければ、ほとんどコストはかからないでしょう。

部屋タイプのネーミングも活用しよう

正直にいうと、従来の部屋タイプの名前は面白みのないものばかりです。

例えば、次のようなものが定番ですね。

ベッドサイズに由来する名前 シングル、セミダブル、ダブル、ツイン、キング…
部屋ランクを表す名前 スタンダード、コンフォート、スーペリア、デラックス、スイート…

これらの名前は、全く好奇心を掻き立てられません。

機能的ではあっても、魅力的とは言えないネーミングです。

ところが現状は、このような語句を使った部屋タイプ名が数多く見られます。

もっと、部屋タイプのネーミングをマーケティングツールとして捉え、ブランドやコンセプトを盛り込んでいく必要があります。

実際に、ホテルの特徴をよく表せている部屋タイプ名を紹介します。参考にしてください。

ホテル名 部屋タイプ名 特徴
星のや(京都) 月橋、水の音、山の端、谷霞、葉雫… 洗練された日本語で高級感・特別感を出している。
PEANUTS HOTEL(兵庫) 各フロア:IMAGINE、HAPPY、LOVE客室:”Happines is a warm puppy”… フロアごとにテーマ設定、客室には作品の名セリフを名づけ、ホテル全体でスヌーピーの世界観を演出。
はいむるぶし(沖縄) でいご、うーじ、てぃだ、とぅもおる、さんにん… 独特な方言と伝統的な琉球紋様マークで、沖縄らしさを出している。
東京ディズニーリゾート(東京) ティンカーベル、シンデレラ、不思議の国のアリス… 有名人気作品を名づけ、ゲストをわくわくさせている。

部屋タイプのネーミングで顧客の興味・関心を惹きつけ、競合ホテルとの差別化を図り、予約獲得につなげましょう。

部屋タイプのネーミングでさえ、レベニューマネジメント全体の一部であるべきなのです。

最後に

ほとんどのホテル開発では、ホテルのオペレーションをどうするかということに重きを置かれており、初期段階からのレベニューマネジメントはあまり実施されていません。オーナーや開発者はホテル完成後に収益について考え始めるのが一般的です。

だからこそ、あなたのホテルはコンセプト開発や設計という初期段階から、レベニューマネジメントにより収益を高める視点を持ってください。収益をあげることと競合ホテルと差を付けることは、早ければ早いほど受けられる恩恵は増します。

今一度、ホテルのコンセプトやデザインを再検討し、図面のボードを振り返ってみましょう。

*この記事はXotelsの協力をもとにWASIMILが翻訳・編集を行ったものです。
オリジナル記事:”How Hotel Design and Concept Development can Benefit from Revenue Management Insights

0 replies

Leave a Reply

Want to join the discussion?
Feel free to contribute!

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *