新型コロナによる影響が続くなか、新しい旅行スタイルが注目されはじめました。今、客室数が限られた中小規模ホテルでは、どのようなレベニューマネジメントができるのでしょうか?この記事では、これからの需要を考慮しながら、客室平均単価を引き上げ、収益アップを図る施策やヒントをご紹介します。

中小規模ホテルの客室平均単価を上げるレベニューマネジメント5つのヒント

新型コロナによる、ホテル・旅行業界への影響が続くなか、「おこもりステイ」や「リフレッシュステイ」といった、新しい旅行スタイルが注目されはじめました。
このように、ホテルに求められるものが変わってきている今、客室数が限られた中小規模ホテルでは、どのようなレベニューマネジメントができるのでしょうか?
この記事では、withコロナ、アフターコロナのホテル需要を考慮しながら、客室平均単価を引き上げ、収益アップを図るレベニューマネジメントの施策やヒントをご紹介していきます。

レベニューマネジメントで利益向上

1.効果的なアップセルでホテルの収益向上

ホテルの客室単価を上げるレベニューマネジメントのヒント1つめは、効果的なアップセル・クロスセルを積極的に行うことです。

コロナ禍で客室稼働率が伸び悩んでいる今こそ、限られた客室数で収益を上げるアップセル・クロスセルの重要性を見直してみましょう。
まずは、よく混同されがちな、アップセルとクロスセルの違いを簡単に説明しておきますね。

アップセルとは

アップセルとは、ある商品の購入を検討している、あるいはすでに購入したお客様に対し、同種の商品で、より高額なものを購入してもらうことで売上単価を上げる方法です。
ホテルでは、客室のアップグレードや、アーリーチェックイン、レイトチェックアウトなどを自然に促すといった手法がこれにあたります。
たとえば、5,000円の追加料金で1日2部屋のアップグレードに成功した場合、単純計算しても、年間で365万円の増益になります。

 クロスセルとは

一方、クロスセルとは、お客様がある商品の購入を検討しているときに、別の関連商品もあわせて購入してもらう手法を指します。
Amazonで買い物をすると、「よく一緒に購入されている商品」として関連商品が表示されますよね?これがクロスセルです。
たとえば、朝食やランチ、ディナーなどの食事クポーン、マッサージやエステなどのスパ体験、客室にシャンパンを1本準備しておく、ホテルが提携しているガイドツアーなど、ホテルで提供できるサービスや施設などは、なんでもクロスセルすることができます。
このような、アップセル・クロスセルを積み重ねていくことで、ホテル全体のの収益増加に貢献します。

効果的なアップセルを行うためのポイント

アップセル・クロスセルは、ホテルのレベニューマネジメントにおいて重要な施策ではありますが、ただやみくもにおすすめしても効率的ではありません。
それどころが逆に、『押し売りされている』という印象を与え、お客様の信頼を失ってしまうことも。
ホテルでアップセル・クロスセルを行うときには、つぎの3つのポイントを意識してみましょう。

  1. 適切な顧客に適切なアプローチをする
  2. 顧客の購買心理を理解する
  3. 売るのは商品ではなく体験

ひとつずつ、簡単に説明していきますね。

適切な顧客に適切なアプローチをする

当たり前ですが、まったく自分に関連性のない商品をおすすめされるより、関連性の高い商品をおすすめされたほうが、「買いたい」と思いますよね。
でもどうやって、関心のありそうな追加サービスを見極めるのか?
その答えは、CRMの活用です。
また一般的に、顧客ロイヤルティ(自社ブランドへの愛着・信頼度)が高い顧客の方が、アップセル・クロスセルの成功率が高いといわれています。
そのため、ロイヤルティの高さよって、顧客をセグメント化するのも効果的です。

顧客の購買心理を理解する

お客様は、購入するのは好きですが、売られるのは好きではありません。
大切なのは、お客様に「売られている」と感じさせることなく、背中を少し押してあげることです。
たとえば、ホテルの予約ページで、より高いグレードの客室タイプに『残り◯室』と表示したり、期間限定のパッケージプランにカウントダウンタイマーを設置するといった方法で、自然にアップセル・クロスセルを促すという方法もあります。

売るのは商品ではなく体験

アップセル・クロスセルを行うとき、商品そのものではなく、その商品を購入することで得られる体験をお客様にイメージさせるようにしましょう。
たとえば、記念日にあなたのホテルを予約しようとしているお客様に対し、シャンパンのオプションを購入してもらいたいと考えたとします。
予約ページにポップアップさせるオプション販売の画像は、つぎのどちらの方が、成功率が高くなると思いますか?

  1. 客室にセットされたシャンパンボトルの写真
  2. シャンパンを飲みながら、客室で記念日を祝う写真

どちらも販売しているのは同じ商品ですが、2番目の方が、素敵な宿泊体験のイメージを描きやすいですよね。

日本政府観光局(JNTO)の予測では、「世界の旅行需要回復を牽引する旅行ヘビーリピーターは、富裕層やミレニアル層」。
ミレニアム世代には、ものを所有することよりも、体験を重視する傾向があります。
大手OTAのExpediaがミレニアル世代の旅行者を対象にしたレポートでも、72%が理想的な旅行をしたいと回答しており、アップセル・クロスセルにより、宿泊体験をアップグレードすることは、顧客満足度の向上にも役立つといえるでしょう。

2.ゲストがホテルで過ごす時間を増やす工夫

ホテルの客室単価を上げるレベニューマネジメントのヒント2つめは、お客様がホテル内で快適に過ごせるように工夫することです。
お客様がホテル内で過ごす時間が長くなれば、食事や館内施設・サービスなどを利用していただくチャンスが拡大するため、客室平均単価のアップにつながります。
withコロナの新しい旅行スタイルとして注目される「おこもりステイ」のトレンドを利用して、ホテルから出ることなく、素敵な宿泊体験が得られるようなサービスを検討してみませんか?
具体的にどのようなことができるのか、一例をご紹介すると…

  • コワーキングスペースの設置
  • ラウンジスペースの家具・インテリアを工夫
  • レストランの食事を客室にテイクアウト
  • 24時間ルームサービス
  • Netflix, Prime Videoアプリ内蔵TV

昨今のワーケーション人気や、人とのつながりを重視するミレニアル世代をターゲットにするなら、コワーキングスペース・ラウンジなどの快適な共用スペースは欠かせません。
また、レストランの食事を客室にテイクアウトするサービスでは、ホテル内のレストランだけでなく、地域の飲食店と提携するのも1つのアイディアです。
「コロナ疲れから開放され、ホテルで非日常感を楽しみたいけど、やはりコロナが心配…」というお客様にとって、人気レストランの食事を客室で楽しめるのは魅力ですよね。

使っていない施設・スペースを有効活用

空いている客室や会議室、宴会場など、ホテル内に使われていないエリアがあれば、宿泊者向けのイベント等に有効活用しましょう。
たとえば、ホテルの庭でビアガーデン、客室や会議室を利用して子ども向けのプログラミング教室などの夏休み向けイベント、宴会場のスクリーンで人気スポーツイベントが観戦する即席スポーツバーなど、ホテル内でのエンターテイメントを提供しながら、使われていないエリアを収益アップに利用することができます。

アフターコロナの需要にも対応

トリップアドバイサーが実施した2021年の旅行動向調査(アメリカ、イギリス、オーストラリア、イタリア、日本、シンガポールの6カ国が対象)によると、半数近くの47%が、2021年の後半に旅行をするのが待ちきれないと回答。
さらに、1回の旅行にかける予算も上昇傾向にあります。
これは、コロナ禍で旅行を自粛してきたことへの反動と考えるのが自然でしょう。
しかし同時に、日本では、比較的に近場の国内旅行を計画している人が半数以上という結果になっており、
「コロナ疲れをリフレッシュしたい!」
「今まで自粛していた分、少し贅沢をしたい!」
という反面、
三密を避けながら、慎重に旅行をしたいという心理状態がうかがえます。
つまり、ホテルから出ることなく非日常感が楽しめるサービスは、アフターコロナのニーズにも対応しているといえるでしょう。
ホテルで味わえる非日常

3.値下げではなく付加価値でホテルの客室平均単価を上げる

ホテルの客室単価を上げるレベニューマネジメントのヒント3つめは、薄利多売で稼働率を上げるよりも、付加価値を付けて客室平均単価を上げることです。
新型コロナの影響で、ホテル・旅館の稼働率が伸び悩んでいる今、値下げで少しでも稼働率を上げたいと考えているホテルも少なくないでしょう。
しかしこれは、一時的には効果があるかもしれませんが、長期的なレベニューマネジメントとしては、得策ではありません。
代わりに、宿泊に付加価値サービスを提供し、客室平均単価の引き上げることをおすすめします。

ホテルの付加価値サービスの例:

  • 送迎車をより高級な車種で貸し切りにする
  • ちょっとした買い物などの代行サービス
  • NetflixなどのVOD(ビデオ・オン・デマンド)を見放題にする
  • ミニバーのドリンクを宿泊料金に含める
  • ホテルのイベント参加費用を宿泊料金に含める
  • 有機野菜など、食材にこだわった料理を提供する
  • 3食付きの宿泊プラン

たとえ料金が高くなっても、新型コロナ感染予防対策をしっかりしているという安心感や、宿泊体験を向上させるような付加価値を提供することで、お客様に納得して予約していただくことは可能です。
また、稼働率が低い分、お客様ひとりひとりへのサービスの質が向上し、リピーター獲得やより高い口コミ評価につながるというメリットもあります。

4.ホテルマーケティングにSNSを活用

ホテルの客室単価を上げるレベニューマネジメントのヒント4つめは、ホテルマーケティングにSNSを活用することです。
イギリスの家具メーカーKnightsbridgeがミレニアル世代に実施した調査によると、ミレニアル世代の73%が、ホテルを予約する前に、ホテルのSNSをチェックするとのこと。
また、33%に至っては、「SNSアカウントのないホテルは予約しない」、83%が「SNSでフォローしている人の画像を見て、ホテルを予約した」と回答しており、SNSの影響力の強さが浮き彫りになりました。
とくに最近では、インスタグラムでホテル検索をする人も増えているので、おいしそうな料理の画像や眺めの良い客室など、ホテルの素敵な写真をアップすることで、集客やアップセル・クロスセルの効果も期待できます。
メールマーケティングはだけに頼らず、SNS集客にも力を入れていきましょう。

5.ホテルの収益アップは顧客満足度の向上がカギ

ホテルの客室単価を上げるレベニューマネジメントのヒント5つめは、顧客満足度を高めることです。
一般的に、客室平均単価は、顧客満足度に比例するといわれています。
顧客満足度が高くなければ、ホテルでお金を使おうという気持ちにならないのは、当然ですよね。
顧客満足度を高めるための、もっともシンプルで効果的な方法は、お客様の期待を超えたサービスを提供することです。
お客様の期待を超えるというと、「なにかすごいことをしなければならないのでは?」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。
必要なのは、お客様のたった半歩前を行くことだけです。

たとえば、

  • 前回リクエストされた新聞を、次回からは自動的に届ける
  • 予約時に移動手段を確認しておき、車の場合は、チェックイン時に駐車券を準備しておく
  • お子様連れには、ベビーベッドや子ども用アメニティなどの必要の有無をホテル側から事前に確認する

など、本当にちょっとしたサービスで、お客様に特別感を与えることができます。

このようなパーソナライズされたサービスは、予約後に事前アンケートメールや、前回の宿泊で得た顧客情報をCRMで管理し、PMSでスタッフと共有することで、ベテランのホテルマンでなくても、誰でも簡単に実現可能です。
パーソナライズされたおもてなしで特別感

まとめ

この記事では、中小規模のホテルに向けて、withコロナ、アフターコロナのレベニューマネジメントのヒントをお伝えしてきました。
値下げをするのは簡単ですが、一度下げた料金や、ブランドイメージをもとに戻すのは簡単ではありません。
薄利多売で稼働率を上げるよりも、アップセルや付加価値サービスなどで、客単価を上げていくレベニューマネジメント施策を考えてみましょう。

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