ホテルがEメールマーケティングを重視するべき7つの理由
Eメールは、ホテルがデジタルマーケティングを行う上で、もっとも重要なコミュニケーション・ツールのひとつです。
とはいえ、LineやFacebook、Instagaramなど、新たなマーケティングチャネルが注目されるなか、メールマーケティングは時代遅れの施策だと考えている方も多いかもしれません。
Statista (スタティスタ) の統計によると、2020年に世界中で送信された1日あたりのメール数は3,064億通、2025年には3,764億通になると予測されています。
この数字が増え続けていることからも、Eメールが今でも、パワフルなコミュニケーション・ツールであることがわかります。
実際に大手ホテルでも、メールマーケティング施策を積極的に実施。
例えばヒルトンでは、
たくさんEメールを配信すれば、より収益が上がるというわけではない。よりパーソナライズされたEメールやコミュニケーションが増益につながる。
という理念のもと、メールマーケティングでのパーソナライゼーションを主要なマーケティング施策のひとつにしています。
そこで今回は、ホテルがメールマーケティングを活用するメリットや、特に中小規模の宿泊施設がメールマーケティングを成功させるためのヒントを解説していきます。
ホテルの集客に活かせるEメールマーケティングの種類
まずは、ホテルの集客に、どのようなメールマーケティング施策が活用できるのかを見てみましょう。
メールマーケティングの手法は、目的によって様々ですが、その中でも、ホテルのマーケティングに有効な手法として、つぎの5つが挙げられます。
- メールマガジン(メルマガ)
- ステップメール
- ターゲティングメール(セグメントメール)
- リターゲティングメール
- 休眠発掘メール
それぞれの特徴を簡単に説明していきますね。
メールマガジン(メルマガ)
メールマガジン(メルマガ)、もしくは、Eメールニュースレターとは、例えば、ホテルの期間限定プランやサービスといった情報を、定期的に顧客に発信する手法です。
メルマガ限定プランや特典など、顧客にとって有益な情報や、関心のある情報を織り込むことで、メール開封率を高めることができます。
従来のように同じメールを全員に一斉送信するのではなく、ターゲット層によって、コンテンツや配信のタイミングを変えることも可能です。
ステップメール
ステップメールとは、特定のアクションを実行した顧客に対し、あらかじめ準備していたメールをスケジュールに従って送信する手法です。
とくにホテル業界では、顧客体験を向上するために、ステップメールが非常に大きな力を発揮します。
では、お客様がウェブサイトから、あなたのホテルを予約をした際のカスタマージャーニーに沿って、ステップメールの例を見てみましょう。
【お客様があなたのホテルを予約】
↓
【予約直後】
予約の確認メール
↓
【予約からチェックイン前まで】
- 事前アンケート
- ホテルへのアクセス・チェックイン情報
- 現地の観光・アクティビティの案内
- ホテルの施設・サービスの案内
↓
【宿泊日の数日前と前日】
予約のリマインダーメール
↓
【滞在中】
滞在中のアンケート
↓
【チェックアウト後】
- 宿泊のお礼
- 次回の宿泊に使えるクーポン送付
このような一連のメールを配信することで、お客様に安心感を与えると同時に、宿泊に対する期待値を高め、キャンセル防止にも役立ちます。
ターゲティングメール(セグメントメール)
ターゲティングメール(セグメントメール)とは、顧客の属性をセグメント化し、ターゲットとなる顧客にのみ特定のメールを配信する手法です。
例えば、誕生月の顧客に対しては、バースデーメッセージとともに、ワインのボトルがサービスされる特典。
地域の住民に対して、ステイケーションの特別プランを提供など、メールの受信者を絞り込むことで、よりパーソナライズされたマーケティングを行うことができます。
リターゲティングメール
リターゲティングメールとは、ホテルのウェブサイトへのアクセスや、キャンペーンメールの開封・クリックといった顧客のアクションをきっかけに、コンバージョンを後押しするメールを配信する手法です。
一般的に、適切なタイミングで、関連のあるメールが届くと、当然ながら開封率は通常より高くなり、コンバージョン率も高くなるといわれています。
またリターゲティングメールは、ウェブサイト上で予約フォームを記入しかけたのに、予約に至らなかった、いわゆる「カゴ落ち」対策としても有効です。
Baymard Instituteによると、ECサイトのカゴ落ち率は、7割近くにものぼるとのこと。
見込み顧客を育成し、機会損失のリカバリーするためにも、リターゲティングメールは効果的なメールマーケティング施策といえるでしょう。
休眠発掘メール
休眠発掘メールとは、過去に宿泊履歴がある顧客のうち、一定の期間、利用がない顧客に対してキャンペーンメールを配信する手法です。
一度はあなたのホテルに興味を持ち、宿泊までしていただいたお客様なので、適切なアプローチをすれば、比較的高いコンバージョン率が期待できます。
顧客のメールアドレスの収集方法のアイディアは、「ホテルがCRMを活用したマーケティングを行うヒント」で紹介しています。
ホテルがEメールマーケティングを行うべき理由
メールマーケティングがホテルの集客にどのように活用できるのか、大雑把なイメージがつかめたところで、つぎはメールマーケティングのメリットを解説したいと思います。
ホテル、とくに中小規模のホテルにメールマーケティングがおすすめな主な理由は、つぎの7つです。
メールマーケティングのメリット
- 低コストで手軽に始められる
- 投資対効果(ROI)が高い
- SNSより新規顧客獲得に効果的
- パーソナライゼーションによるコンバージョン率の向上
- お客様とのコミュニケーションを確立しやすい
- お客様に直接アプローチできる
- メッセージのライフスパンがSNSより長い
1.低コストで手軽に始められる
ホテルがメールマーケティングを行うメリットの1つめは、低コストで手軽に始められることです。
メールマーケティングを始めるためには、メール配信システムが必要になりますが、月額1万円前後から利用できます。
また、基本的なメール配信機能が備わっている、総合型のホテルシステムも増えてきました。
例えばWASIMILは、リスト作成に欠かせないCRM(顧客情報管理システム)から、Eメール作成、メール配信・分析まで、これひとつで可能なので、すぐにメールマーケティングを始めることができます。
2.投資対効果(ROI)が高い
ホテルがメールマーケティングを行うメリットの2つめは、投資対効果(ROI)の高さです。
eMarkterによると、メールマーケティングのROIの中央値は122%。
SNSやダイレクトメール、リスティング広告などのマーケティング施策と比べ、4倍以上の投資対効果となっています。
少ないコストで、高い効果が得られるコストパフォーマンスの良さが、世界中のマーケターにメールマーケティングが活用され続けている最大の理由です。
3.新規顧客獲得に効果的
ホテルがメールマーケティングを行うメリットの3つめは、メールマーケティングが新規顧客において効果が高いという点です。
McKinseyの調査では、EメールはFacebookやTwitterなどのSNSの40倍近くも、新規顧客獲得に効果があるという結果が出ています。
4.パーソナライゼーションによるコンバージョン率の向上
ホテルがメールマーケティングを行うメリットの4つめは、パーソナライズのしやすさです。
コンバージョン率を高めるためには、従来のマスマーケティングではなく、パーソナライゼーションが重要であることは、すでに常識になっていますよね。
実際に、つぎのような統計結果も出ています。
- パーソナライズされたEメールは、そうでないEメールよりも26%開封率が高い( Campaign Monitor)
- 件名がパーソナライズされたEメールは平均で50%以上の開封率(Oberlo)
- パーソナライズされたEメールは、そうでないEメールよりと比べ、6倍のトランザクション率を実現(Experian)
CRMと連携させることで、様々な属性により顧客をセグメント化し、パーソナライズされたキャンペーンを実施しやすいことが、メールマーケティングの魅力のひとつです。
5.お客様とのコミュニケーションを確立しやすい
ホテルがメールマーケティングを行うメリットの5つめは、Eメールがお客様とのコミュニケーション確立に役立つことです。
最近では、手軽にメッセージが送信できることから、LINEやSNSをコミュニケーション手段として活用する企業も増えてきました。
それでも、Consumer email tracker 2019の調査結果からわかるように、消費者がもっとも好むコミュニケーション手段はEメールなのです。
6.お客様に直接アプローチできる
ホテルがメールマーケティングを行うメリットの6つめは、顧客に直接アプローチする「プッシュ型」のマーケティングができることです。
逆に、SNSやホテルのウェブサイト、コンテンツマーケティングなどは、「プル型」のマーケティングに活用できます。
7.メッセージのライフスパンがSNSより長い
ホテルがメールマーケティングを行うメリットの7つめは、SNSの投稿と比べ、メッセージの寿命が長いことです。
Mozによると、ツイートの一般的な寿命は18分間。
すぐに新たなニュースフィード表示されて、あなたのホテルの投稿は、顧客のタイムラインから消えてしまうでしょう。
その点、Eメールなら、たとえ1週間でも効果を持ち続けることができ、その分、顧客の目に止まる可能性も高くなるといえます。
効果的なメールマーケティングのヒント
メールマーケティングは、ホテルのデジタルマーケティングの要といっても過言ではないでしょう。
ただし、ただEメールを配信すればいいというわけではありません。
これからメールマーケティングを始める方や、メールマーケティングは始めてみたけど、なかなか思うような結果が得られないという方に向けて、効果的なメールマーケティングを行うためのヒントをいくつかご紹介します。
メール配信の目的・ターゲットを明確にする
ホテルが効果的なメールマーケティングを行うためのヒントの1つめは、「何を」「誰に」配信したいのかを明確にすることです。
先ほどもお伝えしたとおり、メールマーケティングはパーソナライゼーションが成功の鍵になります。
そのためには、顧客データを分析し、コンテンツごとのターゲットをしっかり設定しましょう。
HTMLメール用テンプレートを活用
ホテルが効果的なメールマーケティングを行うヒントの2つめは、魅力的なHTMLメールのテンプレートを活用することです。
メールマーケティングで使用されるEメール形式には、テキストメールと、HTMLメールの2種類があります。
テキストメール:文書のみで構成されたEメール
HTMLメール:画像・動画の挿入や文字加工によるデザイン性の高いEメール
どちらにもメリット・デメリットがありますが、視覚的な訴求ができるHTMLメールの方が、ホテルのメールキャンペーンには効果的といえるでしょう。
ほかにも、開封率やクリック率などを計測できるというのもメリットです。
しかし一方で、HTMLメールを作成するためには、専門的な知識が必要になるというデメリットもあります。
メール作成に時間を割かれていては、ROIも低下してしまいますよね。
そこで活用したいのが、HTMLメール用のデザインテンプレートです。
これらのテンプレートは、ドラッグ&ドロップでメールデザインができ、ほとんどが、端末の画面サイズによって見やすくデザインが変わるレスポンシブデザインになっています。
最近では、無料でダウンロードできるテンプレートもたくさんあるので、ぜひ活用しましょう。
正しい顧客情報をもとにする
ホテルが効果的なメールマーケティングを行うヒントの3つめは、正しい顧客情報をもとに、Eメールを配信することです。
例えば、メールアドレスの入力ミスなどがあると、せっかくのキャンペーンメールがお客様に届かず、メール到達率も下がってしまいます。
また、データの重複により、毎回複数の同じメールが届来続けると、ホテルに対する信頼に悪影響を与えかねません。
このような顧客データの間違いや重複、表記の揺れなどを修正し、データの最適化をする作業を「データクレンジング」といいます。
データクレンジングの重要性や、効率的なデータクレンジングの方法については、「ホテルのCRMマーケティングにおけるデータクレンジングの重要性」でまとめています。
最適なタイミングで配信する
ホテルが効果的なメールマーケティングを行うヒントの4つめは、Eメールの配信はタイミングを工夫することです。
Eメールの開封率は、いつEメールを配信するかによって大きく変わってきます。
例えば、ビジネスマンであれば、電車通勤中やランチタイム、専業主婦であれば、子どもが学校に行って、家事も一息ついた平日の午後に配信すると、読んでもらえる確率が高くなることが想像できますよね。
ここで大切なのは、あなたの顧客を知ることです。
CRMを活用して、顧客情報の分析、セグメンテーション、ペルソナ設定を行い、ターゲットとなる顧客層にとって、どのような配信タイミングがベストなのかを探ってみましょう。
配信停止方法を明記
ホテルが効果的なメールマーケティングを行うヒントの5つめは、メールマガジンの配信停止方法を明記することです。
あなたにも、解約方法がよくわからなくて、そのまま迷惑フォルダ行きになっているメールマガジンはありませんか?
顧客にとって興味のないEメールは迷惑メールと見なされ、ホテルのイメージダウンにつながる可能性があります。
また、メール到達率を低下させたり、コストの無駄というデメリットもあるため、配信停止の手続きが簡単にできるようにしておきましょう。
キャンペーンの効果を検証
ホテルが効果的なメールマーケティングを行うヒントの6つめは、メールキャンペーンの効果を検証することです。
メールキャンペーンは、Eメールを配信したら終わりではありません。
配信したEメールの未読・既読の状況、どのリンクがクリックされたのか、コンバージョン率はどれくらいなのかなどを毎回分析し、その結果を次回のキャンペーンに活かしていきましょう。
Eメールマーケティングはオートメーションで効率化
セグメンテーションや配信タイミング、キャンペーン結果の分析など、ホテルがメールマーケティングを成功させるために、色々と押さえたいポイントが出てきました。
なんだか大変そうだと思われたかもしれませんが、実は、これらの作業は自動化できるんです。
例えば、ホテルには欠かせないステップメールのような、繰り返し行われる作業は、マーケティングオートメーション(MA)の得意分野。
メールキャンペーンの分析レポート作成や、顧客情報のデータクレンジングなども、すべて自動化できます。
CRM(顧客情報管理システム)との連携
なかでも、絶対に欠かせないのがCRMとの連携です。
メールマーケティングの適切なターゲットを設定するためには、CRMによる顧客データのセグメント化が非常に重要になります。
コスト削減で利益率アップ
Eメールマーケティングの大部分の作業を自動化することで、スタッフの負担軽減や人件費削減に役立ちます。
マーケティングにかけるコストが減れば、そのまま、利益率のアップにつながります。
WASIMILのCRMでホテルに特化したEメールマーケティング
特に中小規模のホテルの場合、できるだけ低コストで簡単にメールマーケティングを導入したいと思いますよね。
WASIMILは、PMS、CRM、自社予約システム、レベニューマネジメント、マーケティング支援ツールなど、ホテルの運営に必要な機能がすべて備わった総合型のホテルシステムです。
あれこれと外部のマーケティングツールをいちから検討する手間やコストをかけず、すぐに本格的なメールマーケティングを開始することができます。
顧客情報のセグメンテーション
WASIMILの機能の中でも、得に優れているのがCRM(顧客情報管理システム)による、顧客のセグメンテーションです。
顧客リストをフィルタリング基準は25以上。宿泊回数や、最終宿泊月など、ホテルに特化しているのも特徴です。
マージタグを使って、簡単にハイパー・パーソナライズされたEメールを作成することができます。
キャンペンメール作成支援ツール
WASIMILには、豊富なHTMLメールテンプレートが揃っており、どれもホテルのキャンペーンメールに適したデザインになっています。
ドラッグ&ドロップの簡単操作なので、専門知識がなくても、簡単にオリジナルメールが作成可能です。
キャンペーンのフィードバック
WASIMILは、キャンペーンのフィードバックもオートメーション。
Eメールの開封率や、メール中の予約リンクのクリック率、その後予約成立まで至ったかなど、メールキャンペーンの効果分析レポートが自動的に作成されます。
配信停止の手続きも自動化
さらにWASIMILでは、配信停止を希望した顧客が、セグメントリストから自動的に省かれる仕様になっています。
意外と面倒な配信停止の作業が自動化されることで、スタッフの手間が省け、人的エラーの防止にも役立ちます。
データクレンジング機能
WASIMILには、メールマーケティングの基礎となる顧客データベースを自動的にクレンジングする機能も備わっています。
現在リリースされているだけでも、下記のようなプロセスが自動化されており、今後、さらに機能を充実していく予定です。
- 購読解除された連絡先の無効化
- バウンスされた連絡先の無効化
- メールアドレスの検証
- 性別識別
- 一般的なデータクレンジング
わざわざマニュアルでデータを修正する手間が省けるので、オペレーションの効率化やコスト削減に役立ちます。
まとめ
今回は、ホテルがメールマーケティングを活用するメリットや、効果的なメールマーケティングのヒントをお伝えしてきました。
スマートフォンの普及にともない、携帯でメールをチェックするEメールユーザーの数も年々増え続けています。
もちろん、ホテルの集客力を最大限に高めるために、SNSマーケティングなど、ほかのマーケティング施策もあわせて行っていくことは大切です。
しかし、Eメールがデジタルマーケティングにおいて、最大のコミュニケーションツールがEメールであることに変わりはありません。
低コストで、コスト以上の効果が期待できるため、中小規模のホテルはぜひメールマーケティングに力を入れていきましょう。