ホテルマーケティングの未来 -- コンテンツマーケティングで成功を掴みましょう
ホテル マーケティングの最終目標は、直接予約を増やすことです。 近年、優れた ROI を約束するマーケティング戦略や仕掛けが数多く登場しています。 マーケティングのトレンドは移り変わりがありますが、コンテンツ マーケティングはその中でも、大きな成果を挙げています。 コンテンツ マーケティングは近年の流行のように見えますが、数十年にわたって常に重要なホテル戦略であり続けています。
今回の記事では、ホテルにおけるコンテンツマーケティングについて、大きく以下の4つの項目に分けて解説していきます。
- コンテンツマーケティングとは何か
- なぜホテルにおいてコンテンツマーケティングが重要なのか
- コンテンツマーケティングの種類とそれぞれの特徴
- コンテンツを作成するコツ
コンテンツマーケティングのイメージはなんとなくできていても、効果的な運用ができていないケースは非常に多いです。
コンテンツマーケティングを強化し、ホテルを成功へと導きたいと考えるすべての方に読んでいただきたい内容です。
コンテンツマーケティングとは何か
そもそも、コンテンツマーケティングという言葉は何を意味するのでしょう。イギリスのCMI(Content Marketing Institute)によると、コンテンツマーケティングは以下のように定義されています。
”明確に定義されたオーディエンスを引きつけて維持するために、価値があり、関連性があり、一貫性のあるコンテンツを作成し、配信することに焦点を当てた戦略的なマーケティングアプローチであり、最終的には、収益性の高い顧客行動を促進することを目的としている。”
出典:CMI(Content Marketing Institute)
少し分かりづらいので、やや噛み砕いて説明しておきましょう。
コンテンツマーケティングとは、ターゲットとする人々にとって、関心を惹きつけるコンテンツを作成し、それらを配信することで購買意欲(ホテルに宿泊したい欲求)を高める戦略的なマーケティングアプローチのこと。
ホテルにおけるコンテンツマーケティングでは、コンテンツ配信をきっかけにターゲット層が実際にホテル宿泊する機会やその頻度を増やすことをゴールとしています。
コンテンツマーケティングは、コンテンツを配信し続けることで、潜在顧客のみならず既存顧客のリピート利用をも促進するメリットがあります。
ホテルにおいてコンテンツマーケティングが重要である2つの理由
冒頭でお伝えした通り、ホテルにおいてはコンテンツマーケティングが非常に重要です。ここでは、なぜそれほどまでにコンテンツマーケティングを強化する必要があるのか、その理由を2つのポイントに分けて解説します。
先に結論からお伝えすると、コンテンツマーケティングが重要である理由は以下の2つ。
- コストパフォーマンスが高い
- 広告以上に高い効果が見込める
それでは、それぞれの理由についてより詳しく解説していきましょう。
1. コストパフォーマンスが高い
コンテンツマーケティングの最大のメリットとも言えるのが、「低コストである」という点です。
WEBに広告を掲載するにせよ、電車の中吊り広告を使用する場合にも、当然コストがかかりますし、決して安くはありません。しかし、コンテンツマーケティングはほぼ広告運用費がかかりません。
- メルマガ
- 自社サイト
- InstagramなどのSNS
これらを使用しコンテンツマーケティングを行う場合、かかるのは人的コストのみ。多額の費用を投じて大きく広告を打ったが反響がなかったなどという事態を懸念する必要さえありません。 これを従来のマーケティングと比較すると、平均して約62%ものコスト削減が可能であると言われています。
さらに、コンテンツマーケティングは従来のマーケティングと比較して、費用対効果が約3倍。これほどコストパフォーマンスの高いマーケティングは他にないと言っても過言ではありません。
MarketingProfsの調査によると、マーケターの66%がコンテンツマーケティングに成功していると実感しており、それで得た利益をコンテンツマーケティングに再投資していることも明らかになっています。(Gartnerの調査)
つまり、マーケターの間では、コンテンツマーケティングはコストパフォーマンスに優れているだけでなく、成功率の極めて高い重要なマーケティング手法として広く認知されているのです。
2. 広告以上に高い効果が見込める
2つめの理由として挙げられるのは、コンテンツマーケティングの効果が従来の広告運用以上に高いことです。
これまで、WEBマーケティングの手法として一般的に使用されていたのが「WEBサイト上のディスプレイ広告やバナー広告」でした。これらは、企業側がターゲット層に伝えたいことを一方的に伝える「売り込み要素」の強いものです。
このような、企業→ターゲット層への一方的なマーケティングは、アウトバウンドマーケティングと呼ばれています。広告やイベント、電話営業などを使って、受け手の意思とは無関係に、こちらが発信したい情報を届ける手法のことですね。
ところが、コンテンツマーケティングは、インバウンドマーケティング。ブログやSNS、自社ホームページを通して、ターゲットの興味を喚起しコンテンツを目にしてもらうアプローチであるインバウンドマーケティングは、受け手が自ら興味を持って情報を見る行動を起こす点がポイントです。
ネットサーフィン中に数多く表示される広告にうんざりしてしまい、いわゆる「広告疲れ」を引き起こす人が増加の一途を辿り、もはや広告を使用したマーケティングは効果的に作用しにくくなっています。
その証拠として、現在ではなんと世界で2億人もの人が広告ブロッカーを使用しているという統計データばあります。また、アイトラッキング研究の結果、私たちの目は広告を無視するように動くようになっているとも言われています。
もはや広告には嫌悪感を示す人が多い現状で、広告運用を強化するのはナンセンスであると言えます。
コンテンツマーケティングは、ターゲット層が自ら「もっと知りたい」と興味を持つことがファーストステップ。インバウンドマーケティングの良さは、「広告を見させられている」のではなく、「純粋に知りたい、興味が湧く」気持ちからコンテンツを見に行く点にあります。
時代は広告からコンテンツマーケティングへとシフトしています。今強化すべきは「いかにしてターゲットに刺さるコンテンツを作成するか」というポイントなのです。
3つのコンテンツとそれぞれの特徴
コンテンツマーケティングに必要不可欠なのが、良質なコンテンツです。コンテンツと一言に言っても、実際は様々な種類があり種類により特徴も異なります。
ホテルにおけるコンテンツマーケティングは主に「公式HPのブログ・コラム記事」や、WEBマガジンなどのテキスト形式が一般的。しかし、現代のコンテンツマーケティングは成長し続けており、コンテンツの種類も多様化しています。
ここでは、代表的な3つのコンテンツ種別について紹介していきます。
1. インフォグラフィック
インフォグラフィックとは、情報やデータ、知識などを視覚的にわかりやすく表現したもの。最大のメリットは、やや複雑で分かりづらい内容でも視覚化することで分かりやすく伝えることができる点にあります。
円グラフや図表などに、統一された色やイラストを交えたりして、パッとみて感覚的にわかるのが特徴です。身近な物でいえば、電車の路線図やドラマの人物相関図などもインフォグラフィックのひとつですね。
文字だけよりも表がある方がネット記事でも分かりやすいと感じるはず。さらにその表が理解しやすいように色付けされていれば理解するまでにかかる時間が短縮されます。
コンテンツマーケティングにおいては、インフォグラフィックの活用が非常に有効です。時間をかけて頭を使わなければ理解できないものでも、インフォグラフィックを活用できていれば一切労力を使わず、楽に理解することができます。
2. 音声コンテンツ
音声のみのコンテンツは、「聞く」ことによって内容が理解できるコンテンツのことです。声のみの情報なので、時間がない忙しいビジネスマンや家事に追われる主婦の方でも、「ながら聴き」により内容を把握することができる点がメリットです。
ポッドキャスト・Voicy・Himalaya・Standfmなどが音声コンテンツの代表格。目で見続ける必要がないのは大きな利点であり、これにより動画などのコンテンツでは拾えない層に効果的にアプローチをかけることが可能になります。
音声コンテンツを聞く時間として最もイメージしやすいのが通勤時間。会社員をターゲットとする場合、この時間帯を狙ってコンテンツを配信することで、効果的にターゲット層にアプローチすることができます。
総務省統計局の平成28年社会生活基本調査によると、日本人の平均通勤・通学時間は男女ともに片道30分以上です。となると、通勤の行き帰りに聴き終えることができるよう逆算し、コンテンツを10分〜20分程度に設定するのが妥当です。
3. 動画コンテンツ
InstagramやYouTubeでお馴染みの動画コンテンツ。目で見て耳で聞くことで内容を理解する動画コンテンツは、短い時間で圧倒的に強い印象を残すことができるのが特徴です。
1分間の動画が伝える情報量は、180万語・3600のwebページに匹敵するとさえ言われています。
動画コンテンツは、非言語情報を伝えるのに適しており、これはホテルのマーケティングにおいても非常に効果的です。非言語情報とは、言語に依存しない情報のことで、具体的には表情や身振り手振りなどの仕草、声のトーン、服装、インテリアなどがこれに該当します。
ホテルの「雰囲気」は重視されるところですが、この雰囲気を作り出す要素のほとんどが非言語情報です。
非言語情報はコミュニケーションの93%を占めると言われるほど重要なもの。非言語情報を多く伝えることで、ターゲット層の人々はホテルに対して親しみや信頼を感じるようになり、ファンになってくれる可能性が高くなると考えられます。
コンテンツマーケティングの下準備3ステップ
コンテンツマーケティングに注力する場合、まず初めに必ずやるべき下準備があります。
常にコンテンツマーケティングの指針となるのは、「潜在的な顧客を取りこぼさず、その顧客ニーズを満たし顧客の問題を解決する」ということ。
ですが、簡単に言ってしまえば、潜在顧客にとって有用なコンテンツを提供しさえすればよいのです。今の時代、私たちはいかに自分好みのコンテンツを配信してくれるかで、企業に対するイメージを固めてしまう傾向にあるからです。
というわけで、顧客のニーズにマッチしたコンテンツで、戦略的なアプローチをかけていくための下準備のステップを3つの段階に分けて紹介していきましょう。
1. キーワード調査
まずはじめはキーワード調査です。コンテンツには文字や音声など、必ず「言葉」が含まれていますが、この言葉のチョイスが非常に重要。
キーワード調査を入念に行い、適切なキーワード設定で作成されたコンテンツは、多くの潜在顧客に届きます。それだけでなく、そのコンテンツはパワーのある効果的なコンテンツとして、継続的に多くの潜在顧客に読まれ続けます。つまりは一度きりでなく長期的に自動集客ツールのように働いてくれるホテルの資産となるのです。
ホテルに関連の強いキーワードを選定するだけでなく、あわせて検索される可能性の高い関連キーワードまで入念にリストアップしましょう。
最終的に強化すべきキーワードを絞り込んだら、そこで始めて高い効果の見込める良質なコンテンツ作りのスタートラインに立てるのです。
2. マーケットの選択
マーケットの選択も、コンテンツマーケティングを始めるにあたり必ずやるべき準備のひとつです。
コンテンツマーケティングにおいて、マーケットの選択を確実に行わなければどのようなことが起こるのか考えてみましょう。
どの分野で競争するのか、それ自体が曖昧となれば何をどう訴求すれば良いのかが不明瞭になってしまい、曖昧なコンテンツを作成してしまいかねません。
マーケットを選択する際には、既存のマーケットで勝負するよりもニッチな未開拓のマーケットを狙う方が勝率は高いためおすすめです。これまで他のホテルが手をつけていない未開拓マーケットで先行者優位が取れれば、既存の大きなマーケットでも勝てるようになります。
3. 明確なペルソナ設定
ペルソナを明確に設定しておくことも、コンテンツマーケティングにおいて重要な準備です。ペルソナとは、ターゲット層の代表的な一人について詳細に記載したもののこと。
ペルソナ設定時には、これまでに得た顧客データから自社ホテルのターゲット層を分析します。このとき、年齢や性別、居住地というデータはもちろん、口コミやゲストとの会話によって得られた情報まで細かに分析していく必要があります。
ターゲット層は年齢・性別・職業などのグループでしたが、ペルソナはその中の特定の一人について日常生活から経済状況、心理状況など事細かに設定するのがポイントです。
例えば、
- 30代男性
- 出張多めの営業マン
- 年収400万円
- 趣味は釣り
- 独身、恋人有
- 一人暮らし
など、この程度は最低限具体的にペルソナ設定していきます。ペルソナを設定すれば、例えば以下のことがよりはっきりと見えてきます。
- 出張時のホテル選びは何のキーワードで検索するか
- ホテル滞在時1泊あたりの予算はいくらか
コンテンツを作成する際には不特定多数ではなく、このペルソナ設定の個人に向けて作成します。こうすることで、そのペルソナ設定に近いホテルの潜在顧客の興味を一気にまとめて引きつけることができます。
効果の高いコンテンツ作成のコツ
さて、それでは、実際にコンテンツ作成を進めていきましょう。ここで気になるのが、どのようなコンテンツが良いのかという点。良質なコンテンツで効果的にアプローチできなければ、コンテンツマーケティングは成功しません。
ここで、良質なコンテンツ作成の3つのコツについて紹介しましょう。
1. SNSに依存しない
「コンテンツマーケティングならSNSで定期的に発信すれば良いだろう」と安易に考える人は案外とても多いですが、そうとも限りません。
なぜなら、利用者の多いSNSで一時的に興味を引くことができても、そこから何も生まれないことは往々にしてあるからです。
その理由は、コンテンツがターゲット層に刺さらず、不特定多数のオーディエンスの興味を満遍なく引いているだけだからです。つまり、コンテンツを気に入ってくれたとしてもそこで終わり、ホテル利用にはつながらないということです。これが反応が得やすいSNSの落とし穴とも言える点。
この状況を防ぐためには、SNSに依存しないこと。あくまでもホテルのターゲットとなる層に訴求していくためにも、自社メディアやメルマガなどを通して「潜在顧客」に直接的にアプローチしましょう。
そのためには長期的にユーザーの興味を弾き続けるためのコンテンツ内容を考え、発信し続けることが重要です。
2. ゲストの作成コンテンツを積極的に使用する
ホテル側が「私たちのホテルはこんなに素敵です」とアピールするよりも、実際にホテルに滞在したゲストが「このホテルはこんなに素晴らしかった」と発信する方が何倍も効果が高いのは想像に難くないと思われます。
宿泊ゲストにコンテンツ作成を促すための施策を考え、より多くの宿泊ゲストにコンテンツを作成、発信してもらいましょう。
ホテル滞在時、ゲストは多くの写真や動画を撮影します。よかったと感じれば、自然に家族や友人に紹介もするでしょう。この動きをさらに促すためには、以下のようなキャンペーンが有効です。
- ホテルをタグ付けしてInstagramやTwitterに投稿→次回利用時に無料アップグレード
- ホテルをタグ付けしてInstagramやTwitterに投稿→次回宿泊料から割引あり
など、売上UPに影響の出ない範囲で特典を決めると良いです。ゲストが発信したコンテンツはホテル宿泊を検討している層が特にチェックしているところでもあり、直接的な集客効果が高いため、積極的にキャンペーンを企画しましょう。
3. インフルエンサーを起用する
インフルエンサーが生成したコンテンツは、コンテンツマーケティングの中でも特殊なものです。インフルエンサーとは、著名人やブロガー、ソーシャルメディアのフォロワー数が多い人を指します。
このようなインフルエンサーをホテルの宿泊客として招待し、彼らの経験に基づいたコンテンツを作成して公開することでリターンを得るという流れです。
最近では、ホテルとインフルエンサーが正式な契約を結んで、期待値、タイムライン、報酬などを明確に明示して取引を行うことも多くなってきました。
インフルエンサーは、ペルソナ設定に近い人物像である必要があります。どのインフルエンサーがより多くの潜在顧客に刺さるかは慎重に判断しましょう。
重要:常により良いコンテンツを配信し続けること
最後に重要なポイントをお伝えしておきましょう。
使用するコンテンツは常により良いものに革新し続けることがコンテンツマーケティングで成功するカギとなります。
コンテンツマーケティングでありがちなのが、「反応が良かったコンテンツを次回以降も使い続けること」です。確かに、反応が良かったということは、多くの人々の関心を集めることに成功したと言えます。しかし、だからと言って同じコンテンツを繰り返し使用したり、似た内容のものばかりを配信し続けるのはNGです。
同様のコンテンツを複数配信することで何が起こるのか、それは自社のコンテンツ内での競合です。こうなってしまうと、効果的にマーケティングすることができなくなってしまいます。
ヒットしたコンテンツをまた使用するのではなく、ヒットした理由を正確に分析し、「ヒットしやすいコンテンツ」の特徴を理解しましょう。
その特徴を盛り込んだ別のコンテンツを作成すれば、次回もまたそのコンテンツで多くの人の関心を集めることに成功しやすくなります。
こちらが考える以上にコンテンツマーケティングの世界は変化の著しいところであり、人々の関心もまた移り変わりのスピードがかなり早いのが特徴です。
コンテンツを作成した後、その経過を観察し結果を分析する一連の業務は必須。こうして常により良いコンテンツを作り続けることで、効果的なコンテンツマーケティングができるようになります。
効果的なコンテンツマーケティングでホテルを成功へ導こう
今回の記事では、ホテル運営に欠かせないコンテンツマーケティングについて解説しました。
コンテンツの作成に欠かせない、ホテルの顧客ターゲット層の選定には効率的な顧客分析が非常に役に立ちます。
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変動の激しいコンテンツマーケティングにおいて、迅速な分析とスピーディなコンテンツ作成はとても大切。ぜひWASIMILを活用し、効率的なコンテンツマーケティングに役立ててみてはいかがでしょう。