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ホテル運営

ホテル客室稼働率の回復に向けて導入すべき7つのオートメーション

Written by:
Sae Watral
August 11, 2024

ホテル専門の調査会社STRの発表では、2021年4月の国内ホテルの平均稼働率は14.1%で、過去最低を記録。

依然として、新型コロナの影響が続く中、

  1. いかに旅行者の不安を取り除き、稼働率を回復させるのか?
  2. いかにコスト削減や業務の効率化で収益減少を補うのか?

という2点が、ホテル業界の大きな課題となっています。

そして、その解決策として注目されているのが、テクノロジー導入による、さまざまなホテル業務のオートメーション(自動化)です。

この記事では、ホテルが閑散期を乗り切ると同時に、コロナ終息後にできるだけ早く回復できるよう、オートメーションを導入するべき7つのエリアをご紹介していきます。

ホテル システム

1.ホテルの予約客にステップメールを自動送信

客室稼働率の回復に向けて、ホテルが導入するべきオートメーションの1つめは、予約ゲストへのステップメールです。

ステップメールとは?(タイトル付囲み枠)
ステップメールとは、あるアクションを実行したユーザーに対して、一連のメールをスケジュールに沿って配信していくメールマーケティングの手法です。

例えば、ゲストがあなたのホテルを予約した場合、

  1. 予約の確認メール
  2. 事前アンケート
  3. ホテル周辺の観光案内
  4. 宿泊のリマインダー

といったメールを段階的に予約ゲストに送信することで、宿泊への期待を高め、キャンセル率を下げる効果が期待できます。

ゲスト一人ひとりの宿泊予約日にあわせてメールを送信するのは、一見、面倒に見えるかもしれませんが、このような繰り返し行われるマーケティング業務は、マーケティングオートメーション(MA)が得意とする分野のひとつ。
事前にメールやスケジュールを設定さえしておけば、特別感のあるメールを自動送信することが可能です。

新型コロナ感染拡大防止対策メッセージ

また、宿泊前のリマインダーメールでは、ホテルが取り組んでいる「新型コロナ拡大防止対策」についてもお知らせしておきましょう。
とくに、客室稼働率が低迷しているこの時期は、少しでもゲストの不安を取り除き、キャンセルを防止することが重要になります。

2.PMSでホテルのオペレーションを効率化

客室稼働率の回復に向けて、ホテルが導入するべきオートメーションの2つめは、PMSです。
PMSとは、ホテルのフロント業務を一元管理するシステムで、最近では中小規模のホテルでの導入例も増えてきました。
基本的な機能として、下記のようなフロント業務機能が備わっているものが一般的です。

  • 予約・在庫管理
  • 客室の清掃状況の管理
  • チェックイン・チェックアウト業務
  • 清算、領収書や請求書の発行

しかし、PMSを最大限に活用するなら、次のようなホテル運営に必要な機能が付いているものや、外部ツールとの連携が可能なものを導入することをおすすめします。

  • レベニューマネジメント
  • 顧客情報管理(CRM)
  • データの集計・分析
  • 自社予約システム
  • マーケティング支援
  • サイトコントローラーと連携

PMS導入のメリット

ホテルがPMSを導入する主なメリットとしては、つぎの4つが挙げられます。

  1. 業務の効率化・人件費の削減
  2. 予約入力間違いなどの人的ミスを防止できる
  3. より効率的なマーケティング戦略が立てられる
  4. カスタマーサービスの質が向上

限られたスタッフ数で、質の高い接客レベルを維持するためにも、可能なエリアは積極的に自動化していきましょう。

PMS選びのポイントについては、こちらの記事をどうぞ。


PMS ホテル

3.チェックインを自動化

客室稼働率の回復に向けて、ホテルが導入するべきオートメーションの3つめは、チェックイン・チェックアウトの自動化です。
コロナ禍で、『コンタクトレス(非接触型)』がニューノーマルになりつつあるのはご存知の通り。
ホテル業界でも、非対面型チェックインやデジタルキーを導入するホテルが増え、いっきにコンタクトレス化が進んでいます。
以前は、このようなテクノロジーを導入するためには、膨大な費用が必要でした。
しかし最近では、低コストでコンタクトレスチェックインができるサービスが登場しているので、必要な機能や予算にあったサービスを検討してみましょう。

チェックイン自動化のメリット

チェックイン・チェックアウトの自動化のメリットは、新型コロナ感染拡大防止だけではありません。
ほかにも、スムーズなチェックイン・チェックアウトでゲストのストレスを軽減したり、無人フロントを導入することで、人手不足解消・人件費削減といったメリットも期待できます。

4.ホテルのカスタマーサービスにチャットボットを導入

客室稼働率の回復に向けて、ホテルが導入するべきオートメーションの4つめは、チャットボットによる、カスタマーサービスの自動化です。
多言語対応など、ホテル業界の課題を解決するカギといわれているチャットボットですが、コロナ禍でさらに需要が高まっています。
とはいえ、
「チャットボットの導入は、顧客満足度を下げるのでは?」
「カスタマーサービスは、人間が対応するべきなのでは?」
と、心配しているホテル経営者も多いのではないでしょうか?
では、BUSINESS INSIDERに掲載された、カスタマーサービスに関する調査結果を見てみましょう。

  • 消費者の45%は、サービスが効果的で正確であり、迅速に対応されさえすれば、対応しているのが人間でもチャットボットでも気にしない。
  • 消費者59%は、できれば電話以外の方法でカスタマーサービスに連絡したいと思っている。
  • 消費者全体の33%、ミレニアル世代の52%が、すべてのカスタマーサービス対応を自動化された手段を通じて受けたいと思っている。

また、いち早くチャットボットを取り入れたマリオットホテルの調査結果によると、宿泊客の3人に2人が滞在中にチャットボットを利用

わざわざフロントに立ち寄ったり、電話をすることなく、いつでも好きなときにリクエストや質問ができるので、客室満足度の向上につながっています。
とくに、ミレニアル世代、Z世代といった若い顧客層は、電話よりも、LINEなどのメッセージツールを好んで使うのが特徴です。
このような顧客層にアピールするのであれば、チャットボットの導入は、大きなプラスポイントになるかもしれません。

5.レベニューマネジメントツールの導入

客室稼働率の回復に向けて、ホテルが導入するべきオートメーションの5つめは、レベニューマネジメントツール(システム)です。
ホテルの収益を最大化するためには、レベニューマネジメントが必要不可欠ですが、現実には、高いスキルを持った専門のレベニューマネジャーは人材不足なうえ、雇用コストもかかります。
そのため、中小規模のホテルでは、宿泊部長がレベニューマネジメント業務を兼任しているということろが一般的なのではないでしょうか?
需要を予測して、収益を最適化するための適切な価格設定・販売管理を行うという業務は、非常に時間のかかる作業ですが、これも自動化できます。
しかも、データ分析に基づいた戦略を立てるので、勘に頼ったマニュアルのレベニューマネジメントよりも効果的です。
最近では、レベニューマネジメント機能が備わった総合型PMSも販売されています。
いろいろな外部ツールを別々に購入して、PMS連携させるよりも、手軽でリーズナブルにホテル運営ができるので、PMSを選ぶ際の1つのポイントとして注目してみましょう。

レベニュー マネジメント ホテル

6.ホテル宿泊中のゲストへアンケートを自動送信

客室稼働率の回復に向けて、ホテルが導入するべきオートメーションの6つめは、宿泊ゲストへのアンケート送信です。
ゲストからのフィードバックは、ホテルのサービスを向上させるための貴重なデータなので、宿泊後にアンケートをお願いするホテルも少なくないでしょう。
でも、アンケートをお願いするのは、宿泊後である必要はないのです。
マーケティングオートメーションのアンケート機能を活用すれば、滞在中のゲストにメールでアンケートを自動送信することができます。
滞在中にフィードバックをお願いすることの最大のメリットは、ネガティブな宿泊体験をチェックアウトまでにリカバリーできるという点です。
Web上での口コミは、ホテルのイメージに大きく影響します。
そのため、できるだけ滞在中に問題を解決し、宿泊後のネガティブな口コミを減らすことが重要です。
また、滞在中にフィードバックを求められることで、「ホテルが自分のことを気遣ってくれている」という印象を与えることもできます。
ここで大切なのは、ネガティブなフィードバックが送信されたら、自動的にホテル側が対処できるように設定しておくことです。

7.メールマーケティングのハイパー・パーソナライゼーション

客室稼働率の回復に向けて、ホテルが導入するべきオートメーションの7つめは、メールマーケティングのハイパー・パーソナライゼーションです。
今や、EコマースからNetflixまで、消費者はパーソナライズされた広告に囲まれています。
パーソナライズされたキャンペーンの方が、一斉送信された、関連性の低いキャンペーンより、エンゲージメントが高いというのは、もはや常識となっていますが、同じブランドでも、消費者によって異なる広告が表示されているのをご存知ですか?
一例として、より高い買い物をした履歴のある顧客に対しては、Facebook、インスタグラム、メール、あるいはブランドのウェブサイト自体に表示される広告が、より高価な商品になっています。
パーソナライズされた広告が当たり前になった今、Eコマースは消費者の期待を超えるために進化を続けているのです。
ホテルが目指すのも、ただパーソナライズされたメールマーケティングではなく、ハイパー・パーソナライズされたメールマーケティングです。
例えば、WASIMILのマーケティング機能では、

  • 年齢
  • 性別
  • 国籍
  • 誕生日

などで、顧客をセグメントできるだけでなく、

  • ファーストネーム(名前)
  • ラストネーム(名字)
  • 居住国
  • 都道府県
  • 前回宿泊した月
  • 前回宿泊した年
  • 宿泊回数

といったタグで、ハイパー・パーソナライズされたメールの自動送信が可能です。

セグメントした客層に対して、宿泊パッケージのメールキャンペーンを実施する際にも、次のようなハイパー・パーソナライズされた文章を添えるだけで、特別感がいっきに増すと思いませんか?

【メールの例】
“こんにちは、(フルネーム)様。

いつも◯◯ホテルをご愛顧いただき、ありがとうございます。

すでに(宿泊回数)ご宿泊いただいておりますが、また◯◯様を当ホテルでお迎えできたらと思い、◯◯様への特別宿泊パッケージをご用意いたしました。

(前回宿泊した月)からお目にかかっておりませんが、また(都道府県)から起こしいただけるのをスタッフ一同、心よりお待ち申し上げております。”

まとめ

今回は、ホテルの客室稼働率回復に向けて、オートメーション(自動化)を導入するべき7つのエリアについてお伝えしてきました。
コロナ禍をきっかけに、さまざまな分野でテクノロジーの導入が進んでいます。
今回ご紹介したようなホテル業務のオートメーションも、コロナ終息後には『ニューノーマル』になっているでしょう。
困難な時期を乗り切り、ホテルの客室稼働率をできるだけスムーズに回復できるよう、今から準備を始めてみませんか?

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