Withコロナでインバウンド獲得に先手を打つヒント
今、ほとんどのホテル業界は、国内旅行者を何とか獲得することに全力を注いでいることでしょう。
しかし、インバウンドのことを忘れていませんか?
「インバウンドなんて今は需要ないよ」
「インバウンドに目を向ける余裕はない」
という声が聞こえてきそうですが、やはりインバウンドがホテルに持つ影響力は大きいです。今のうちからインバウンドにも目を向けておくことをおすすめします。
この記事では、インバウンドの現状と今後の展望、特に回復が早いと考えられる近隣アジア諸国の旅行傾向やマーケティング事例の紹介などを、データを交えて紹介しています。
需要が回復してからの対策は誰もができること。
今のうちから傾向を的確に把握し、インバウンド回復を見据えた洞察力をつけておきましょう。
インバウンド回復の兆しとホテル業界の展望
インバウンド需要が激減していることは周知の事実ですが、実際にどれくらい減ったのか、どのような推移をたどっているのかはご存じでしょうか?
まずは現状、そして現状から読み取れる今後の展望をご紹介します。
日本のインバウンドの現状
まずはインバウンド需要の現状について確認しましょう。
日本で緊急事態宣言が発令された4月以来、訪日外国人数は前年同月を大幅に下回っています。その実、前年同月比で95%以上も減少。
しかし、日本政府観光局(JNTO)によると、2020年10月の訪日外国人数(推定値)は7か月ぶりに2万人を超えたことが発表されました。
まだまだ厳しい状況ながらも、少しずつ増加していることがわかりますね。
各国の海外渡航の状況
次に、各国の海外渡航に関するニュースをまとめます。
✔アメリカでは、3月に全世界を対象にした海外渡航中止警告を発していたが、8月に国務省がこれを解除した。
✔台湾では、留学生やビジネス利用者を対象とした往来が可能となり、日台間の航空路線が再開。主な航空会社は、日本航空、チャイナエアライン、ピーチ航空など。
✔マレーシアでは、駐在員や長期滞在者を対象とした往来が可能となり、短期滞在者(旅行者)についても協議の段階へ入った。
✔香港では、延期していた同国最大のイベントを2021年1月に開催することを決定した。同イベントは世界中からファンが集まるアニメ・漫画・ゲームの見本市。
✔オーストラリアでは、Wendy Wu Tours(旅行会社)が一人旅に重きをおいた訪日旅行を発表。
国レベルの海外渡航規制が緩和されたり、インバウンドを見込んだ商業イベントが開催されたり、一人旅という海外旅行のニューノーマルが構築されつつあったり…着実に海外渡航へ向けた動きはあるのです。
回復の予感
各国の活発な国内旅行からわかるように、人々の旅行への情熱は失われていません。いずれ来る国境再開のときには、海外旅行の需要は一気に高まるでしょう。
また、京都市観光協会がインバウンド回復を見込んだロードマップを提案していることから、今後もインバウンド獲得は観光業界の重要要素と捉えられていることがわかります。
これらの動向は、遠くない将来にインバウンドが増えてくることを予感させます。
インバウンド回復は近隣アジア諸国から
では一体、インバウンドはどの国から回復し始めるのでしょうか?
まず考えられるのは、地理的に近いアジア諸国です。
実際に、国別訪日外国人数の上位を見てみましょう。
上位5ヶ国は近隣アジア諸国で占められていることがわかりますね。
これは、地理的に近く移動時間も短いことが要因の一つと考えられます。コロナによって3密を避けるニューノーマルのもと、飛行機に搭乗する時間が短い方が安心できる旅行と考えられているのでしょう。
また、欧米諸国ではアジア人に対するコロナ差別を受けてしまう懸念があります。中国(アジア)で発生したコロナウイルス。いまだに偏見を持っている人はいるかもしれません。
このような不安要素から、欧米を避けてアジア圏旅行がまず第一歩となるでしょう。
現時点で上位を占めている近隣アジア諸国は、今後もインバウンド数をけん引すると考えられます。インバウンド獲得は、まずはアジア圏をターゲットにするのが妥当ですね。
アジアからの旅行客の滞在日数や消費の傾向
WASIMILでは、日本政府観光局のデータをもとにアジア諸国含め、世界各国からの旅行者の傾向をダッシュボードにまとめています。
ここでは、2020年10月において訪日外国人最多である「ベトナム」のデータを見てみましょう。
滞在日数
ベトナムからの旅行者の滞在泊数は平均7泊。
下記のグラフから、ほとんどが4~6日間(61.53%)、あるいは7~13日間(24.36%)滞在していることがわかります。
ベトナムからの旅行者をターゲットにする場合、この分析を活かして4~6日間の連泊キャンペーンを打ち出す等の適切な施策ができますね。ターゲット顧客に対して適切なアプローチをするためにも、データを把握することは大いに役に立ちます。
消費支出額
ベトナムからの観光客の1日あたりの支出額は平均14,265円。
最も多い支出額を示すのは、3日間以内の滞在者で30,076円です。
すなわち、客単価が最も高いのは3日間以内の滞在者で、滞在日数が増えるにつれて客単価はさがっていく負の相関がみられます。
これらの支出額のデータは、客室料金を設定する際の参考にしたり、オプションをすすめるかどうかの基準にしたりして活用できるでしょう。
もっと詳しくみる
当サイトのダッシュボードでは、ベトナム以外の国についても同様のデータが見られます。アジアはもちろん欧米諸国まで。国によって日本への期待や嗜好は異なるので、国別に詳細なデータを見られるダッシュボードは必携です。
さらに下記チャートのように、世界の国々を体系的に俯瞰することもできます。
ホテルマーケティングにおいて、データ分析などの客観的な視点は不可欠。WASIMILのまとめたダッシュボードは、きっとあなたのホテルにとって役立つツールとなるでしょう。
旧正月のあるアジア諸国
続いて、アジア諸国についてもう少し詳しく見てみましょう。
多くのアジア諸国で共通の休暇といえば、「旧正月」ですね。
中国では春節とも呼ばれ、アジア人観光客のかき入れ時のひとつといえるでしょう。
インバウンド獲得へ向けた第一歩として「旧正月」を捉えてみてはいかがでしょうか?
旧正月とは
旧正月とは、旧暦(太陰暦)での正月のこと。
旧暦はかつて、中国・日本・朝鮮半島・ベトナムなどで用いられていた暦です。
日本では旧正月を祝う習慣はほとんどなくなってしまいましたが、中国や中華圏の国々は現在でも新暦の正月よりもむしろ旧正月の方を盛大に祝っているんです。
旧正月は、例年1月下旬から2月中旬の間にあり、年によって日付は異なります。
2021年の旧正月は2月12日です。
旧正月が国の祝日となっている国々
以下の国々では、旧正月が国の祝日となっています。
中国・香港・台湾・韓国・北朝鮮・ベトナム・シンガポール・マレーシア・インドネシア・ブルネイ・モンゴル
旧正月は、その前後も休日となり大型連休になりやすいのが特徴です。
2020年には中国で7連休、韓国で4連休、2019年にはベトナムで9連休も。これに有給休暇などをくっつければさらに長い連休となりますね。
旧正月の過ごし方はさまざまありますが、最近では海外旅行先で過ごすのがトレンド。せっかくの大型連休、足を伸ばしたいという人が多いのでしょう。
中国では約700万人が海外旅行へ出かけ、人気旅行先ナンバーワンは日本なのです。
インバウンド業界にとっては見逃せない大きなチャンスです。
実際にアジア圏からのインバウンド客を呼び込むことに成功した事例
ここで、さまざまな業界のマーケティング成功事例を紹介します。
ホテル業界以外の事例も、新たな切り口を見つけるヒントになるはずです。
事例①インフルエンサーを活用したマーケティング戦略
新潟県十日町市は、中華圏で70万人の読者を持つ台湾人ブロガー・林氏を招待。
林氏は日本旅行をテーマにしたブログを運営しています。
林氏とその家族に、雪上アクティビティ・雪見温泉・囲炉裏焼などを体験してもらいました。その後、林氏が十日町市での日本旅行をブログに載せ、十日町市は前年比20%増のインバウンド集客に成功しました。
⇒旅行をするにあたり、ほとんどの人がインターネット上のコンテンツを参考にしています。ターゲットにしたい国や地域では、どのようなSNSや検索エンジンが主流なのかを調査し、そこでPRする方法はとても効率的ですね。
事例②中国人の生活様式を考慮したマーケティング戦略
有名百貨店の高島屋では、中国人がよく利用するAlipay(アリペイ)やWechatPayment(ウィーチャットペイメント)、銀聯カードなどを導入。
また、中国人は買い物中に電話やメッセージで家族や友人に相談することが多いことを考慮し、Wi-Fi環境の拡充も実施。
2018年の営業利益は前年比3.9%増を獲得しています。
⇒中国では現金(人民元)の海外持ち出しに制限があります。中国で主流のバーコード決済や銀聯カードが使えるのは、中国人にとっては嬉しいメリットでしょう。
中国人の買い物の仕方をよく分析し、細やかな配慮がなされたマーケティングですね。
アジア以外の国々も追々ターゲットに
インバウンド獲得はまずはアジア圏から。
しかし、その後はアメリカ大陸、ヨーロッパ、オセアニアが待っています。
ダッシュボードを利用すれば、世界の国々の旅行傾向が把握でき、今後の施策につながります。
1年先、3年先、10年先…長期的な観点でインバウンドマーケティングをすすめていきましょう。
ホテルマーケティング戦略にデータは必須
ホテルを運営していると、「この国の人はこんな人が多いな」といった肌感覚で傾向がわかることも多いですよね。
データは、その肌感覚をより正確なものにしたり、新たな側面を示してくれたりする心強いツールです。
肌感覚では、たまたまそのような傾向の人が多かったという場合があります。
データは膨大な宿泊客から算出されたもので、高い信頼性を持っています。
顧客に寄り添うマーケティングを行うためにも、データを味方につけ、確かな洞察力を身に付けましょう。
*この記事はUP Hotel Agencyの協力をもとにWASIMILが翻訳・編集を行ったものです。
オリジナル記事:”Smaller Hotels with Big Ambitions“