平均単価を上げるためのホテル収益管理の 7 つのヒント
あなたのホテルでは、レベニューマネジメントの外部委託を検討したことはありますか?
レベニューマネジメントといえば、ホテルの収益を左右する経営戦略の要です。
そのような重要な業務を「外部」に任せると聞いて、驚いている方も少なくないでしょう。
しかし実際には、経理や税務、法務と同じように、収益管理も、アウトソーシングによるメリットが多い業務分野なのです。
すでに海外では、レベニューマネジメントを外部委託するという考えは、一般的なものになりつつあり、ホテル専門のコンサルティング会社のウェブサイトでは、閑散期や経営危機を乗り越えた小規模・独立系ホテルの事例がいくつも報告されています。
そこでこの記事では、中小規模ホテル・旅館がレベニューマネジメントを外部委託するべき理由やメリット、そして、レベニューマネジメントの自動化について解説していきます。
中小規模ホテルがレベニューマネジメントを外部委託すべき理由
レベニューマネジメントの外部委託は、とくに中小規模ホテルにとってのメリットが多い施策といえます。
なぜなら、レベニューマネージャーをフルタイムで雇用した場合、つぎのような面において、課題が発生するからです。
中小規模がレベニューマネージャーを雇用する際の課題
- 雇用コスト
- 採用・適任者の見極め
- レベニューマネージャーの管理・サポート
レベニューマネジメントの外部委託は、これらの課題の解決策となり得ます。
1.雇用コスト
中小規模ホテルがレベニューマネジメントを外部委託するべき理由の1つめは、雇用コストを抑えながら、ホテルの収益を最適化できることです。
効果的なレベニューマネジメントを行うためには、専門的なスキルと経験、さまざまなデータを分析するための膨大な時間が必要になります。
しかし中小規模のホテルでは、大手のホテルのように専任のレベニューマネージャーを雇用しているところは多くありません。
支配人や宿泊部長などが、レベニューマネジメントの業務をを兼任している、というケースがほとんどではないでしょうか?
本来、レベニューマネージャーの仕事は、他のフルタイム業務と兼任できるようなものではありません。
とはいえ、レベニューマネージャーをフルタイムで雇用するとなると、それなりのコストがかかります。
レベニューマネージャーの平均年収は400万円〜700万円といわれており、ホテル業界全体の平均年収と比べても高めです。
また、レベニューマネージャーは常に人材が不足している職種なため、より良い条件を求めて、離職率が高くなるという傾向もあります。
その点、レベニューマネジメントの外部委託は、レベニューマネージャーをホテルで雇用するよりも、低いコストで導入が可能です。
2.採用・適任者の見極めの難しさ
中小規模ホテルがレベニューマネジメントを外部委託するべき理由の2つめは、レベニューマネージャーの採用や適任者の見極めの難しさです。
よく誤解されがちですが、レベニューマネジメントとは、客室料金を変更するだけの単純な仕事ではありません。
しかし、弁護士や会計士のように、スキルを客観的に証明できるものがない場合、何を基準にレベニューマネージャーと呼ぶのでしょうか?
そもそも、レベニューマネジメントにはどのようなスキルが必要なのでしょうか?
とくに中小規模のホテルでは、社内に専門的な知識やスキルを持ったスタッフがほとんどいないのが現状です。
たとえ面接官が総支配人であったとしても、レベニューマネージャーとしてCRSに触ったり、サイトコントローラーの更新、マーケットセグメントやフォーキャスト・ピックアップ、ブッキングカーブを見極めて分析を実行した経験がなければ、目の前にいる候補者が適任者かどうかを見極めることは難しいでしょう。
3.レベニューマネージャーの管理とサポート
中小規模ホテルがレベニューマネジメントを外部委託するべき理由の3つめは、レベニューマネージャーの管理やサポートの難しさです。
ホテルでレベニューマネージャーを雇用した場合、その先には「レベニューマネージャーをどのように管理するのか?」という課題が待っています。
レベニューマネジメントでは、小さなミスが、大きな収益の損失につながることも。
そのため、レベニューマネージャーの仕事内容をチェックすることが重要になります。
しかし、あなたがレベニューマネージャーの仕事内容を理解していない場合、どのように対処するのでしょうか?
そのスタッフが正しいことをしていると盲目的に信じて、ホテルの収益管理を1人の判断に委ねるのは、賢明なこととはいえません。
一方、ホテルマネジメントを行う会社には、通常、複数の専門家が在籍しているため、常に仕事内容をチェックしてもらえるというのもメリットです。
スキルアップのためのサポート
また、中小規模ホテルで働いているレベニューマネージャーから、自分たちの仕事内容が会社に理解されていない、あるいは、スキルアップのための十分な社内サポートがないという不満を耳にすることがあります。
ホテルでレベニューマネージャーを雇用する場合、このようなサポートも考慮しなければなりません。
ホテルがレベニューマネジメントを外部委託するメリット
中小規模ホテルがレベニューマネジメントを外部委託することにより、レベニューマネージャーを雇用する際の課題が解消されることは、先ほどお伝えした通りです。
さらに、ホテルにとって、つぎのようなメリットが期待できます。
ホテルがレベニューマネジメントを外部委託するメリット
- 複数の専門家からサポートが受けられる
- 採用のコストや時間が削減できる
- 多角的な視点で業務を管理
- 他部署との連携が円滑になる
- スタッフの作業量を軽減できる
- より複雑な戦略で増益のチャンスを拡大
- 利益率を最大化できる
では、ひとつずつ説明していきますね。
1.複数の専門家からサポートが受けられる
レベニューマネジメントを外部委託するメリットの1つめは、複数の専門家からサポートが受けられることです。
多くのホテルマネジメント会社では、価格戦略、流通管理、eコマース、統計や数学など、さまざまな専門知識を持つ複数のスタッフが在籍しています。
そのため、それぞれのホテルのニーズにあった知識やスキル、経験を提供してもらうことが可能です。
2. 採用のコストや時間が削減できる
レベニューマネジメントを外部委託するメリットの2つめは、有資格のレベニューマネージャーを採用する手間とコストが削減できることです。
有能なレベニューマネージャーを見つけることは容易ではなく、給与も安くはありません。
さらに、レベニューマネージャーの人材不足は、ホテル業界全体での悩みのタネとなっています。
とくに中小規模のホテルでは、適任者の見極めが難しいこともあり、雇用プロセスにかなりの時間と予算が取られてしまうでしょう。
せっかく採用しても、より良い条件の仕事に転職するために、すぐにあなたのホテルを退職してしまう可能性があることも念頭に置いておきましょう。
3.多角的な視点で業務を管理
レベニューマネジメントを外部委託するメリットの3つめは、多角的な視点から業務内容の管理をしてもらえることです。
通常、ホテルマネジメントの会社では、レベニューマネジメントには専門家のチームで携わります。
そのため、1人の意見に頼るのではなく、適切なチェックをしながら、バランスの取れた戦略を立てることが可能です。
4.他部署との連携が円滑になる
レベニューマネジメントを外部委託するメリットの4つめは、他部署との連携が円滑になることです。
一般的に、レベニューマネジメントは、ホテルの経営陣に理解されにくく、セールスやマーケティングなどの他部署と連携が取りにくい傾向にあります。
それぞれの部署の戦略が同じ方向目指していなければ、ホテル全体としてのパフォーマンスを高めることはできません。
全体的なマネジメントの理解が深く、円滑なコミュニケーションを得意とする会社に業務を委託すれば、このような問題を解決することもできます。
5.スタッフの作業量を軽減できる
レベニューマネジメントを外部委託するメリットの5つめは、社内スタッフの作業量を軽減できることです。
小規模なホテルでは、フロントオフィスや客室部門のマネージャーが、本来の業務以外に、レベニューマネージャーを兼任していることが多いかと思います。
しかし、2つのフルタイムのポジションを1人で担当するのは大きな負担です。
フロントマネージャーとしての本来の業務に支障をきたす可能性は、指摘するまでもないでしょう。
結果として、日々のオペレーションが円滑に進まなくなり、ホテルの収益低下の原因にもなりかねません。
6.より複雑な戦略で収益アップのチャンスを広げる
レベニューマネジメントを外部委託するメリットの6つめは、複雑な専門性や、さまざまな要因をふまえた意思決定が可能になることです。
ほとんど中小規模ホテルには、専門的なレベニューマネージャーがいないません。
そのため、少なくとも下記のうち1つ以上の面において、収益をのばすチャンスを逃してしているのです。
- 料金レートの見直し(ホテルのタイプ、シーズン、リードタイム、セグメンテーション、部屋のタイプ、曜日パターン、評価スコアなど)
- アドオン収入(F&B、MICE、スパなど)
- 市場と経済の変動
- PMS/POS/CRSの導入
- GDSシステムの利用
- 組織の課題と構造改革などなど…
より複雑な戦略を取り入れることで、ホテルの収益アップのチャンスを拡大できます。
7.ホテルの利益率を最大化
レベニューマネジメントを外部委託するメリットの7つめは、ホテルの利益率を最大化するチャンスが広がることです。
アウトソーシングにより、どれくらい利益が上がるのか、前もって具体的な数字を知ることは難しいかもしれません。
なぜなら、ホテルのレベニューマネジメントを成功させるためには、非常に多くの要因が絡んでくるからです。
しかし、適切な会社にホテルのレベニューマネジメントやマーケティング戦略を任せた場合、利益率の向上はほぼ間違いないでしょう。
そのためには、中小規模ホテルに特化した、経験や実績がある会社を選ぶことが欠かせません。
また、景気後退時と経営危機時の両方で実績があるかどうかも、必ずチェックしましょう。
閑散期に客室平均単価(ADR)を上げるためのレベニューマネジメント施策については、こちらの記事をどうぞ。
WASIMILでレベニューマネジメントを自動化
最近では、中小規模ホテルが、コストを抑えながら効果的なレベニューマネジメントを行う手段として、レベニューマネジメントシステムの活用も注目されています。
日々、本来の価格戦略よりも、そのためのデータ管理に時間を費やしていませんか?
そのマニュアル作業は、自動化できるかもしれません。
例えば、ホテルシステムWASIMILには、下記のようなビジネスインテリジェンスレポート機能が備わっています。
WASIMILのレベニューマネジメント
- レベニューマネージメントに必要なデータを自動生成
- 価格戦略を立案するための指標(RevPARやADR、宿泊予約までのリード時間など)を自動で生成
- 収益レポートをスケジュール
これらの機能を活用すれば、価格設定にかかる時間を短縮して、ホテルの収益アップにつなげたり、ルーティーンの報告作業を自動化して業務を効率化することができます。
比較的に低コストで導入できるので、まずはこのようなDX(デジタルトランスフォーメーション)から、レベニューマネジメントの改善を始めるのもおすすめです。
ホテルの収益向上のために、導入を検討したい業務のオートメーション(自動化)については、こちらの記事で解説しています。
まとめ
この記事では、中小規模ホテルがレベニューマネジメントを外部委託するべき理由やメリットについてお伝えしてきました。
ホテルにとって、レベニューマネジメントが重要であることは、すでに常識となりつつあります。とくに稼働率が低迷する閑散期に置いて、経営リスクを軽減するための戦略は必要不可欠です。
専門的な知識とスキルが必要なレベニューマネージャーを雇用するコストや難しさを考慮すると、中小規模ホテルにとって、アウトソーシングのメリットは高いといえるでしょう。
しかしその際には、業務を委託する会社選びに注意しましょう。
ただ数字をチェックして、定期的にレポートを送ってくるだけといった従来のやり方では、ホテルの収益アップは期待できません。
経験や実績、どのようなサポートが受けられるのかなどを事前に確認して、信頼のできる会社に業務を委託しましょう。
WASIMILは、中小規模ホテルが使いやすく開発したホテルシステムです。
できるだけコストを抑えながら、効果的なレベニューマネジメントでホテルの収益を向上させる方法について、ぜひお気軽にWASIMILへご相談ください。