ホテルのCRMマーケティングにおけるデータクレンジングの重要性
ホテルをはじめ、さまざまな業界でCRMが導入されるなか、『データクレンジング』という言葉を耳にする機会が増えてきました。
しかし、データクレンジングとは何なのか、ホテルのマーケティングやレベニューマネジメントに、どのように影響するかなど、いまいち理解できないという方も多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、ホテルがCRMを活用する上でのデータクレンジングの重要性や、顧客データを最適化するための方法を解説していきます。
データクレンジングとは?
データクレンジングとは、ホテルがCRMのデータベース等に保存している顧客データの間違いや重複、表記の揺れなどを修正し、データの品質を高める作業のことです。
例えば、同じ名前や住所でも、下記のように入力フォーマットが異なると、別々の顧客データとみなされて、重複して保存されることがあります。
(例)
ほかにも、法人格や会社名の表記方法が統一されていないために、検索をかけても顧客データがなかなか見つからないということも。
(例)
また、メールアドレスが間違っていて、せっかく送信したキャンペーンメールが顧客に届いていない、といったケースも少なくないでしょう。
こういった正しくないデータは、「ダーティデータ」と呼ばれています。
収集した顧客データを分析して、ホテルのマーケティングやレベニューマネジメントに有効活用するためには、データの汚れをきれいにクレンジングすることが重要なのです。
データクリーニングとの違い
データクレンジングとデータクリーニングは同じです。
また似たような意味の言葉で、『名寄せ』という言葉を聞いたことはありませんか?
名寄せとは、複数のデータベースに保存されている顧客情報から、重複しているデータをひとつの顧客として紐付ける作業のことです。
データクレンジングツールの機能に、名寄せが含まれていることもあります。
ホテルのCRMにデータクレンジングが必要な理由
では、ホテルのCRMにとって、データクレンジングがなぜそんなに重要なのでしょうか?
データが汚いと、顧客検索で重複するデータが表示されたり、表記が統一されていないためにデータが見つからないといった業務上の不都合は、先ほどお伝えしたとおり。
ほかにも、つぎのようなデメリットが生じる可能性があります。
- 無駄なマーケティングコストがかかる
- 重複メールが顧客ロイヤルティを低下させる
- メール到達率が低下する
重複したキャンペーンメール・DMの送信や、顧客に届かないキャンペーンを行うことで、無駄なマーケティングコストがかかるというのは、容易に想像できますよね。
ここでは、重複メールのデメリットとメール到着率の低下について、もう少し詳しく説明します。
重複メールのデメリットとは?
1人の顧客に重複したメールを送信することの主なデメリットには、つぎの3点が挙げられます。
- メールのパーソナライズ感が低くなる
- 迷惑メールと認識されやすくなる
- ホテルのイメージダウンにつながる
CRMを活用したメールマーケティングを成功させるカギは、パーソナライゼーションです。
ところが、毎回同じメールが重複して届いていると、せっかくセグメントして特別感を出したメールも、ただの一斉メールという印象に。
これでは逆に、ホテルに対する信頼度を下げる結果になってしまいかねません。
また重複メールは、迷惑メールとみなされやすい傾向にあります。
そうすると、開封率が下がるだけでなく、あなたのホテルからのメールが迷惑フォルダに届くようになり、メール到達率が下がってしまいます。
また、効果的なパーソナライゼーションに向けては、「ペルソナ」を作ることが重要です。「ペルソナ」を設定して活用する方法は、「ホテルマーケティングにおけるペルソナの重要性と設定方法」でご紹介しています。
メール到達率はなぜ重要?
メール到達率とは、送信したキャンペーンメールのうち、顧客の受信ボックスにとどいたメールの比率です。
メールアドレスが間違っていて、メールがはね返ってきた場合はもちろん、迷惑フォルダに届いた場合なども、メール到達率が下がる原因になります。
メール到達率が低い=機会損失とも考えられるので、できるだけメールが顧客の受信ボックスに届くようにしなければなりません。
そして、もうひとつ大切なのが、無効なメールアドレスにメールを送り続けないことです。
存在しないメールアドレスに何度もメールを送信し続けていると、宛先のサーバに迷惑メールだとみなされて、ブロックされることがあるからです。
また、インターネットプロバイダー(ISP)からも、送信元のIPアドレスがブロックされることがあるので注意しましょう。
ホテルが定期的なデータクレンジングを行うメリット
ホテルでCRMを活用するためには、データクレンジングを定期的に行いましょう。
定期的なデータクレンジングを行うことで、つぎのようなメリットが期待できます。
- データ分析の精度が高まる
- より効果的なマーケティングが可能になる
- 業務の効率化・コスト削減
ひとつずつ説明してきますね。
データ分析の精度が高まる
ホテルが定期的なデータクレンジングを行うメリットの1つめは、データ分析の精度が高まることです。
レベニューマネジメントツールにCRMを連携させてレポートを作成する場合、もとになるデータベースがきれいな状態であることは、データ分析の精度に大きく影響します。
数字の表記揺れや重複などを修正することで、より正確な数字を拾うことができるようになり、レポートの信頼性がアップします。
より効果的なマーケティングが可能になる
ホテルが定期的なデータクレンジングを行うメリットの2つめは、より効果的なマーケティングが可能になることです。
データクレンジングで顧客情報をきれいに保つことは、先ほども説明したように、キャンペーンメールの重複配信を防いだり、メール到達率を高めるのに役立ちます。
さらに、これまで誤入力されていた項目や、表記揺れのために拾われていなかった項目が修正されると、より多くのデータが活用できることになり、今まで以上に細かな顧客のセグメント化が可能になります。
業務の効率化
ホテルが定期的なデータクレンジングを行うメリットの3つめは、業務の効率化とコスト削減です。
顧客検索をしているときに、登録名のフォーマットが異なるために、一回で検索結果が表示されず、イライラした経験はありませんか?
このような日常の非効率性も、CRMのデータベースのフォーマットを統一することで解消されます。
また、重複データが修正されるので、無駄なマーケティングコストの削減も期待できます。
ホテルが顧客情報をきれい保つための5つの習慣
CRMをホテルのマーケティングやレベニューマネジメントに最大限に活用するなら、普段からつぎのような習慣をつけて、データベースをきれいに保つよう心がけましょう。
【データベースをきれいに保つための5つの習慣】
- 顧客情報はひとつのデータベースで一元管理する
- 入力フォーマットを統一する
- メールアドレスを検証する
- 重複データを削除する
- データを追加
1.顧客情報はひとつのデータベースで一元管理する
データベースをきれいに保つための1つめの習慣は、顧客情報を一つのデータベースで一元管理することです。
一つのデータベースにまとめて管理することで、データクレンジングがしやすくなるのは、言うまでもありません。
また、それぞれのシステムに顧客情報を入力する手間も省けるので、業務の効率がアップします。
PMS、CRM、予約エンジン、レベニューマネジメント、MAなど、ホテル運営に必要なシステムは、できるだけ連携させて、一元管理できるものを選びましょう。
2.入力フォーマットを統一する
データベースをきれいに保つための2つめの習慣は、顧客情報の入力フォーマットを統一することです。
名前や会社名の入力方法、全角・半角、スペースの入力ルールなど、スタッフ全員が同じフォーマットで入力できるように、マニュアルを作成しましょう。
ただし、必ずしも毎回マニュアル通りに入力されるとは限りません。
人的ミスを完全に防ぐこともできないので、やはり定期的はデータクレンジングが必要になります。
3.メールアドレスを検証する
※検証ツール
データベースをきれいに保つための3つめの習慣は、メールアドレスが正しいかどうかを検証することです。
メールアドレスの有効性は、検証ツールを利用することで、宛先にメールを送ることなくチェックすることができます。
メールリストを一括で検証できるので、メールマーケティングを行うホテルには非常に便利なツールです。
もちろん、明らかな入力ミスなどを見つけた際は、その都度、修正していきましょう。
4.重複データを削除する
データベースをきれいに保つための4つめの習慣は、重複データを削除することです。
顧客検索で、重複する顧客データが表示されたときなどは、そのままにせずに、1つのデータに統合するようにしましょう。
ただ、フロント業務中など、その場で対応する時間がないことも多いですよね。
その際は、あとでまとめて作業できるよう、所定の場所にメモを残すなどのルールーを決めておくことをおすすめします。
5.データを追加
データベースをきれいに保つための5つ目の習慣は、顧客データを追加していくことです。
顧客情報を入力する際に、すでに入手している情報から、埋められる空欄の項目がないかを確認してみましょう。
たとえば、名前から性別、会社のメールアドレスが登録されていれば勤務先など、できるだけ項目を埋めることで、データの質を高めることができます。
データクレンジングは自動化がおすすめ
ホテルCRMのデータベースをクレンジングする頻度は、最低でも月に1回以上が好ましいといわれています。
とはいえ、データクレンジングにはかなりの手間と時間を要するので、データ量が多い場合は、マニュアルでの作業は難しいでしょう。
さらにその際、人的ミスが発生してしまうと、データクレンジングの意味がなくなってしまいます。
データクレンジングの代行サービスを依頼するという方法もありますが、コストが気になりますよね。
そこでおすすめなのが、データクレンジングの自動化です。
例えば、ホテル業務を一括サポートするクラウド型ホテルマネジメントシステムWASIMILは、ホテルシステムにデータベースの自動クリーニング機能を搭載しています。
これから、さらに機能が充実していく予定ですが、現在リリースされているだけでも、下記のようなプロセスの自動化が可能になっています。
- 購読解除された連絡先の無効化
- バウンスされた連絡先の無効化
- メールアドレスの検証
- 性別識別
- 一般的なデータクレンジング
それぞれの機能を簡単に説明していきますね。
1.購読解除された連絡先の無効化
メールキャンペーンの配信を停止した連絡先に対して、今後のマーケティングメールの送信を自動的に無効にします。
2.バウンスされた連絡先の無効化
メールがはね返ってきた連絡先への、キャンペーンメールの送信を自動的に無効にします。
3.メールアドレスの検証
信頼性の高いメールプロバイダー(Sendgrid)の機械学習プロセスに、様々な自動チェックを組み合わせて、無効なメールアドレスを特定します。
4.性別識別
性別項目が空欄の場合、連絡先の名前から性別を識別し、自動的に更新します。
5・一般的なデータクレンジング
名前のフォーマットから、国際電話の標準フォーマット、敬称のフォーマットまで、あらゆる一般的なデータベースのクレンジング作業を行います。
ホテルシステムWASIMILのデータエンリッチメント機能
WASIMILは、PMS(宿泊管理)、CRM(顧客管理)、自社予約エンジン、レベニューマネージメント、Eメールマーケティング、サイトコントローラー連携などが一元管理できるオールインワンホテル業務システムです。
もとになるデータベースを自動的にクレンジングすることで、すべてのホテル業務において、最適化されたデータを活用することができます。
ホテルシステムWASIMILには、「データエンリッチメント」機能が搭載されています。この機能では、重複した顧客データをクレンジングするための自動機能です。AI技術により、重複していると思われる顧客情報を抽出し、重複の確信度を表示します。ホテル側は、WASIMILから提案された重複データを精査し、ボタンひとつでデータを統合しクレンジングしていくことができます。
【β版事前登録を行う】
▼WASIMILβ版の事前登録はこちら(登録無料)
まとめ
この記事では、ホテルがCRMを活用する上でのデータクレンジングの重要性や、顧客情報データをきれいに保つための方法についてお伝えしてきました。
汚れたデータをもとにしたメールマーケティングは、最悪の場合、ホテルに対する顧客ロイヤルティを下げることにもつながります。
入力フォーマットを統一するためにマニュアルを作成など、普段からハウスキーピングの習慣を実践すると同時に、データベースの自動クレンジング機能を利用して、効率よくCRMの質を高めていきましょう。