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ホテル運営でのネットプロモータースコア(NPS)活用方法を徹底解説

Written by:
Hinako
June 28, 2024

あなたのホテルは、顧客ロイヤルティに注力していますか?
最近、顧客ロイヤルティを測るネットプロモータースコア(略してNPS)という指標が収益アップにつながると注目され始めています。

「顧客ロイヤルティって何?」
「NPSって何?」

そんな方も安心してください。
この記事では、顧客ロイヤルティやNPSについて解説し、NPSと収益アップの関係や活用方法を紹介しています。

顧客ロイヤルティとは

「顧客ロイヤルティ」とは、顧客があるブランドや商品、サービスなどに対して持つ信頼や愛着のこと。ちなみに、ロイヤルティとはLoyalty(忠誠心)という英単語に由来しています。

ホテルでいうと、ゲストがホテルに対して持つ信頼や愛着の大きさを、顧客ロイヤルティが高い/低いと表現するのです。
大きな信頼や愛着を持ってくれるゲストのことをロイヤルカスタマーといい、ホテルにさまざまなメリットをもたらしてくれます。

例えば下記のようなメリット。
✔長期的にリピ―トしてくれる
✔良い口コミやレビューを拡散してくれる
✔クレームではなく建設的なフィードバックをくれる

ロイヤルカスタマー自身が長く何度も利用してくれる上に、友人知人あるいはインターネット上の誰かまでも呼び込んでくれる可能性があるのです。
ホテルとしては、ロイヤルカスタマーを増やしていきたいところですね。


ホテルのカスタマー・ロイヤリティー

顧客満足度との違い

よく聞く指標として、顧客満足度というものがあります。
顧客満足度とは、製品やサービスそのものに対してどの程度満足しているのかを測る指標です。
「安くて便利」
「高性能な機能」
「サービス内容が優れている」
といったように、頭で理性的に決まる傾向があります。

顧客満足度アンケートでは「どの程度満足しましたか?」と問い、3~10段階で回答してもらいます。そして「満足」と答えた人の割合(%)を指標とします。

顧客満足度アンケートのメリット&デメリットはこちら。

顧客満足度アンケートはシンプルでわかりやすいので、企業にとって実施が容易です。顧客にとっても回答しやすく、たくさんの回答を集められます。
ただし、「満足」という概念そのものが曖昧で主観的なので、定量化しにくいのも事実です。
さらに本当に不満を抱いた顧客はアンケ―トに回答せず、満足した顧客が積極的に回答する傾向があるので、スコアが高く出ます。その結果、問題点があっても気づけないことも。
顧客満足度スコアが高くても、数年後には破産に陥った事例もあり、企業の成長とはあまり相関しないといわれています。

一方で顧客ロイヤルティは、満足するのはもちろんのこと、「愛着を持っているかどうか」という点が加わります。
「自分のことをわかってくれている」
「自分の声に耳を傾けてくれてる」
「価値観や世界観が合う」
「大切にしてくれる」
といった心で感情的に決まる傾向があります。

顧客満足度が高くても、より安い製品や便利なサービスが生まれれば、顧客は乗り換えてしまうでしょう。
また、満足度が高い顧客が必ずしもリピート購入や購入単価アップといった行動をするとは限らないこともわかってきました。

しかし顧客ロイヤルティが高ければ、会社の理念や世界観、雰囲気そのものに好意を持っているので乗り換える可能性は低くなり、長期的に収益をもたらしてくれる顧客となるのです。

ホテル運営での顧客ロイヤルティの重要性

ホテルに収益をもたらしてくれるのは、いうまでもなくゲストです。
ホテルを利用してくれるゲストが増えれば増えるほど、収益はアップするでしょう。
しかし、新規ゲストを獲得するコストは、既存ゲストを維持するコストよりもかなり高くなってしまいます。戦略考案や広告など時間も費用もかかりますよね。

そこで、既存ゲストに重きをおいて、顧客ロイヤルティの高いロイヤルカスタマーになってくれるよう工夫するのが得策です。
そうすればロイヤルカスタマーが良い口コミを広げたり、友人知人に紹介してくれたりして、質のいい新規顧客も獲得できる可能性が高まるでしょう。

また、今後日本の人口が減少していくことや、インバウンド復活もいまだ不透明なことを踏まえても、新規ゲスト獲得に躍起になるより既存ゲストとの関係性を深めることに注力した方が良いと言えます。

顧客ロイヤルティを測る【NPS】

顧客ロイヤルティを図る指標がNPS(Net Promoter Score:ネットプロモータースコア)です。
具体的にはこのような質問をします。

「あなたはこのホテルを友人や同僚に薦める可能性は、どのくらいありますか?」

これに対し0~10の11段階で評価してもらうアンケート形式です。
とてもシンプルな質問ですが、「リピートする」「知人友人におすすめする」というホテル収益に大きく関わる行動と高い相関があるのです。

NPSは、2003年にアメリカの大手コンサルティング会社、ベインアンドカンパニー社が発表しました。現在では、Googleやアップル、P&Gなど世界的大企業も活用していると言われています。
日本では遅れていましたが、近年導入が活発になりつつあります。


顧客ロイヤルティを測る NPS

NPSの正しい使い方

次に、活用するために欠かせない、NPSの正しい算出方法や使い方を解説します。

NPSの算出方法

①質問して回答を得る。
質問:あなたはこのホテルを友人や同僚に薦める可能性は、どのくらいありますか?
回答:0(全く思わない)~10(非常にそう思う)の11段階をいずれかひとつ選択

②得られた回答を3つに分類する。

  • 0~6:批判者
  • 7~8:中立者
  • 9~10:推奨者

③3つそれぞれの割合(%)を計算する。

④下記の式にあてはめてNPSを算出する。


NPS=推奨者の割合(%)ー批判者の割合(%)

業界内や競合と比較

NPSは絶対値をみるというよりも、相対値として評価します。
つまりNPSがいくつだから良い・悪いというのではなく、ホテル業界内や競合ホテルと比較してポジションを確認したり、1年前と現在で比較して改善しているかどうか変化をみたりして、活用するのです。
例えば2017年のNTTコム リサーチによる調査では、ホテル業界では下記のような結果が報告されています。

  • 平均値:-8.6
  • トップ:12.2
  • ボトム:-36.1

ただし、この調査はハイクラスホテルを対象としています。ゲストハウスやビジネスホテル等は含まれていません。

また、日本人の傾向として、真ん中の評価を付けやすいというものがあります。

あなたも、何となく5段階評価の「3」や「どちらでもない」と回答したことはありませんか?
したがって、日本ではNPSの質問に対し4~6を選ぶ人が多いので、NPSはマイナスの数値が出やすいのです。

海外のNPS調査報告は日本よりも多くありますが、安易にNPSの比較はできないので注意しましょう。

ホテル・旅館におけるNPSの活用

ホテルや旅館といった宿泊施設でも、積極的にNPSを活用しましょう。
特に、顧客満足度が長らく伸び悩んでいるホテルや、批判的なレビューを受けて対策しているにも関わらず効果が感じられない旅館などは、NPS導入を強くおすすめします。

NPSのアンケートを取る際には基本の質問事項に加えて、「回答した理由」を探る質問事項もあるとなおよいです。
ホテルや旅館の場合、カスタマージャーニーに沿った質問が適しています。
例えば…
「予約方法はわかりやすかったですか?」
「チェックインはスムーズでしたか?」
「お部屋のアメニティは十分でしたか?」
「お食事はお口に合いましたか?」
「観光地へは迷わず行けましたか?」
「チェックアウト時のスタッフ対応は満足でしたか?」…など
上記のようなカスタマージャーニーに合わせた質問事項があると、どこに問題点があるのか把握するのに役立ちます。
もちろん質問内容や回答形式は、あなたのホテルや旅館に応じてカスタマイズしてください。5段階評価か自由回答かなど。

「予約方法がわかりにくい」という回答が多く得られれば、webサイトの予約画面の見直しが必要です。
「アメニティに特徴がない」という回答が多ければ、地元の石鹸屋とコラボしたり、美容液や入浴剤など細やかなアメニティを用意したりして、特徴を出してみるとよいです。

満足度や批判だけでなく、ロイヤルカスタマーを増やすことに注目するのです。
ロイヤルカスタマーを増やしリピート率を向上させれば、中長期的な収益アップにつながるでしょう。


ホテル・旅館におけるNPSの活用

NPSをよりホテル運営へ活用するためのポイント

より効率的に効果的にNPSを活用するポイントを解説します。

口コミレビューも合わせて総合的に判断する

NPSの結果だけで判断するのは早計です。
必ず、他の質問事項やゲストからの直接フィードバック、口コミも合わせて総合的に判断しましょう。

そもそもNPSは「ホテルへの信頼や愛着の度合」を図る指標なので、「何が課題なのか」はNPS単独では見えづらいのです。
ですので、NPS回答の収集時には他の質問事項も追加したり、ゲストとの会話や口コミを分析したりして、課題を洗い出す必要があります。
課題が見えてはじめて、次の行動が取れるのです。
NPSはあくまで指標のひとつであり、NPSを以て何をしたいのかという本質を忘れないようにしましょう。

変化をモニタリングする

NPSの変化を追うことは、実施した対策がうまくいっているかどうかを判断する基準となります。
1度目のNPSの結果を受けて対策を実施してから、半年や1年などの一定期間経過後に、再度NPSを比較しましょう。
スコアが上昇していればその対策は改善の方向に進んでいるということになり、変化しないあるいは減少していれば効果が得られていないことになるので、対策を見直す必要があるとわかります。

「対策して終わり」ではなく、その結果を見て評価し改善していくというサイクルが、企業の成長には不可欠です。

回答しない顧客の存在を考慮する

意外と盲点なのが回答しない顧客の存在です。
サイレントマジョリティーとも呼ばれます。
NPSの結果ばかりに気を取られると、忘れてしまいやすいので注意しましょう。

NPSの回答が極端に少ない場合は、正確な状況を反映していない結果ということになります。
そのような場合は、まずホテルの規模にあった回答数を獲得できるように対策しなければなりません。

統計学的に分析する

可能であれば、NPSや他の質問事項の結果を統計学的に分析するとよいでしょう。
NPSに影響を与えている要素は何か、突出している項目はどれかなどがわかります。
コンサルティング会社に依頼したり、統計に詳しい人と統計ソフトを確保したりすれば、統計学的な分析は可能です。

WASIMILのEメール機能を使ってNPSを実施

WASIMILのEメール機能を使えば、NPSを容易に実施できます。
チェックアウト後のメールに、NPSとその他の質問事項を盛り込んだアンケートフォームを記載するだけ。テンプレートを作成しておけば、毎回メールを作成する必要はありません。

ステップ1:

無料のアンケート作成ツールでNPSフォームを作る
まずはNPSの質問事項を記載したアンケートフォームを作りましょう。
無料でNPSフォームを作成できるツールは、例えば下記の通り。

Googleフォームは、誰でも無料で簡単にアンケートを作れるツールとして有名ですね。
得られた回答結果はGoogleスプレッドシートに記録されるので、グラフ化したり割合(%)を算出したりとすぐにデータとして扱えます。
NPSフォームのテンプレートもあるので、そのまま使用できるのも嬉しいポイント。
Survey Monkeyは、豊富なテンプレートを使えたりアドバイスも受けられたりと、手軽に本格的なアンケートを作成できるツールです。
得られた回答は、計測しグラフ化もしてくれるので、視覚的にも理解しやすいでしょう。
Wootricは、メールのアンケート以外にも、ポップアップを使用したアンケートも作成できる便利なツールです。今後詳しいアンケートデータを取っていきたいなら、まずは無料で始めて、後に有料プランを活用するのもよいでしょう。

ステップ2:

WASIMILの自動Eメール機能でNPSアンケートを実装する
NPSフォームを作成したら、WASIMILの自動Eメール機能で、チェックアウト後のメールを自動送信に設定しましょう。

1度設定しておけば、その後は自動でチェックアウトしたゲストにNPSフォームを送ることができます。
自動送信にすることで、ホテルスタッフの手間を省きながらサービス改善施策を図れるのです。
チェックアウト後の自動メール配信機能を使って、無理なくNPSを活用してください。

まとめ

顧客ロイヤルティを測るNPS(ネット・プロモーター・スコア)。
NPSを活用して顧客ロイヤルティの高いロイヤルカスタマーを増やせば、手堅い収益アップが狙えるでしょう。
いわゆるファンや常連さんと言えるロイヤルカスタマーを増やして、ホテルの長期的な売上につなげてください。


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