データ健全性を高めて効率的なホテル経営を!データマネジメントの基本を解説
あなたのホテルでは、上手にデータマネジメントできていますか?
ホテルにはあらゆるデータがあふれています。
ホテルのデータを活用すれば、効率的なマーケティングやオペレーション最適化、さらには顧客関係管理(CRM)にとても役立つのです。
しかし、それはデータを正しくマネジメントできたときに初めてで成せること。
この記事では、ホテルにおけるデータマネジメントについてメリットや方法、ポイントなどの基本を徹底解説します。
データマネジメントとは?
データマネジメントとは、データをビジネスに活かせるように、組織としてデータを維持・管理、そして利活用することです。
データという情報を、収益アップやコストカットといった意義のある洞察に変えていく行為です。
最終的には、ビジネスにさらなる成長や発展をもたらすことを目的としています。
データマネジメントの例を挙げると…
・データを蓄積する仕組みを作ること
・データ構造を可視化すること
・データの意味や重要性を教育すること
・責任体制を確立すること…など
これらもデータマネジメントです。
上手にデータマネジメントすれば、より正確な顧客像が見えたり、収支の傾向がより具体的にわかったりします。
ホテルにあるデータの種類
ひと言でデータといっても、その種類は実に豊富です。
顧客に関することだけがデータとも限りません。
ホテルで集められるデータの例は、下記の通り。
【予約に関するデータ】
ゲストの基本情報(名前、年齢、住所…)/チャネル配分/リードタイム
/宿泊日数/客室料金/客室履歴/稼働率/競合の客室価格…
【ゲストに関するデータ】
連絡先(電話番号、住所、メールアドレス…)/属性(年齢、結婚の有無、子どもの数…)/利用予約チャネル/過去の宿泊履歴/宿泊目的/利用したサービス/飲食の好み/支払方法/総支払い金額…
【清掃に関するデータ】
清掃スタッフの稼働人数/アメニティや清掃用品のコスト/一部屋あたりのリネン数/清潔さに対するゲストからの評価…
【物品に関するデータ】
飲食物の仕入れ数/リネンやタオル代/使い捨て備品のコスト/制服/サービス利用料金(自動販売機、Wi-Fi…)/プリント物のコスト…
このように、ありとあらゆる情報が有用なデータになる種なのです。
例えばWi-Fi接続日時のデータでさえも、上手にマネジメントできれば、ホテル内でゲストがどのように移動したのかなどがわかります。
ホテル内で起こる全ての現象がデータになりうると考えてよいでしょう。
次の章では、これらのデータを使ってどんなメリットが得られるのかを詳しく紹介します。
データマネジメントで得られるメリット
前述のデータを利活用することで、ホテルにはどんなメリットがもたらされるのでしょうか?
ホテルが得られるメリット
- 稼働率の予測精度が上がる
- 適正な客室価格を付けられる
- チャネルを効率よく運用できる
- 無駄なコストをカットできる
- 顧客満足度をアップ
- ロイヤルカスタマーを増えせる
- 収益性の高い顧客が明らかになる
- 効率的なターゲティングできる…など
また、現象を数値化することで、改善の程度が誰にとっても目に見えてわかりやすくなります。スタッフも経営者も改善を感じられることでモチベーションアップにもつながるでしょう。
データマネジメントの3ステップ
正しくデータマネジメントを行うには、大きく3つのステップをきちんと行う必要があります。
①データを集める
当たり前ですが、データマネジメントはデータがなければ始まりません。
まずはデータを集めましょう。
データを集めるには、仕組化してモレのないようにすることが重要です。
データ収集作業を日々の業務の一環に入れるのです。
例えば…
・前日の宿泊カードの情報をPMSに入力する
・清掃終了後にはリネンの在庫数を記録する
・電話予約受付時には必ずPMSに入力する
・毎日20時に物販の販売数を記録する
このように日々の業務の中で、情報(データ)を入力することを取り入れておけば、どのスタッフが行っても基本的にモレなくデータ収集ができるでしょう。
また、ゲストのリクエストや軽いクレームなど例外的な情報であっても、「その他の特記事項はPMSのメモ欄に入力する」などと決めておくと良いでしょう。記録しておくことで、長期間で見ると特定のリクエストが多いことがわかったり、似た属性の人からは同じようなクレームが多いことがわかったりして、新たなニーズや改善点の発見にもなります。
業務の中に仕組として取り入れることがデータマネジメントの第一歩です。
②データを整える
データが集まったら、使える有効なデータなのかを検証しましょう。
データの健全性チェックともいいます。
例えば下記のようなデータがないかチェックしましょう。
・同じゲストのデータが2つ以上ある(重複データ)
・年齢データなはずなのに記号や文字になっている(エラーデータ)
・名前のないゲストのデータがある(欠損データ)…など
これらのデータはまず修正しなければなりません。
そのままにしていると、例えばEメールマーケティングでのメールを、同じ人に2回送ることになったり正しく送れなかったりして、マーケティングの効果が発揮できなくなってしまいます。
したがって、データの健全性チェックは定期的に行いましょう。
③データを分析する
データを整えたら、次はデータから有効な洞察を得るための分析を行いましょう。
多くのPMSやホテルシステムでは、分析ツール が備わっています。
しかしそれらは、稼働率の推移やKPIの算出といったデータ結果を見せてくれるだけで、その要因や傾向は示してくれません。
要因や傾向に関する深い洞察を得るには、違う種類のデータ結果と比較したり、外部ソースから得たデータ結果と照らし合わせたりして、総合的に判断する必要があります。
データ分析は少し難しいですが、データから仮説を立てて検証していくというPDCAを回しながら、分析の精度を高めていきましょう。初めはコンサルタントと相談しながら進めるのも有効です。
データマネジメントのポイント
- 必要以上にデータを集め過ぎない
- ひとつのデータベースで管理する
- 常に整えられたデータを維持
- ビジュアル化する
データを集めることは重要ですが、余分なデータ集めに時間や労力をかけ過ぎるのは避けたいところですね。必要なデータを選別して効率よく集めるようにしましょう。初めてのデータマネジメントであれば、予約やゲストに関する最低限のデータのみを集めることに注力し、まずはデータ集めの仕組み化を図りましょう。
また、「ひとつの」データベースで管理するのも重要です。部署ごとにデータベースが異なるため複数が混在するホテルも多くあります。フロントとレストランなどでそれぞれ管理するのではなく、統合してひとつのデータベースからすべてのデータへアクセスできるように管理しましょう。
常にデータを整えていつでも分析できるようにしておくことで、ビジネスにおいて迅速な対応が打てるようになります。そのためにはデータの集め方から扱い方をスタッフに教育しておくと良いでしょう。
さらにデータをビジュアル化することで、直感的に理解しやすくデータ分析において役立ちます。
ホテルにおけるデータマネジメントの重要性は今後もっと高まる
旅行仲介会社を介した団体旅行や社員旅行といった大人数グループ旅行は、今では少なくなってきているなと感じることでしょう。
インターネットやSNSが活発になったことで、ゲストは自ら情報を集めて宿泊予約に至ることが増えてきています。ホテルにとっても、ゲストへ直接メッセージを届けられる時代になったのです。
今後もこの傾向は高まっていくと考えられるので、ホテルはD2C(Direct to Consumer)がより重要になってくるでしょう。
D2Cマーケティングを成功させるためには、ゲストの情報データを適切に集め管理し利活用することが必要なのです。
WASIMILのホテルシステムでデータをラクラク管理!
WASIMILには、データエンリッチメントやデータベース健全性チェックの機能があります。
データエンリッチメント機能では、人工知能(AI)が重複している可能性が高い顧客を「同一人物ではないですか?」と示してくれます。わざわざ手動でチェックする必要がなく、また確認もれを防げるので、とても便利です。
データベース健全性チェックは、ゲストに関するデータをちゃんと取得できているか、ダッシュボードで確認できる機能です。ゲスト全体のうち、誕生日を取得てきているのは何パーセントか、有効なEメールアドレスを取得できているのは何%なのか…などそれぞれの情報についてモニタリングできます。
これによって、ゲスト情報の収集を意識して、現場に働きかけることができるでしょう。
まとめ
ホテルにおけるデータマネジメントについてメリットや3ステップ、ポイントを紹介しました。
これからホテルにとってデータマネジメントは必要不可欠になってくるので、今までやっていなかったホテルも何となくやっていたというホテルも、この機会に適切なデータマネジメントを始めてみてください。