小規模ホテルは直接予約で勝負!4つの戦略とホテル管理システムの重要性
ここ数年で、ホテル管理システム(PMS)や顧客管理システム(CRM)、デジタルマーケティングなどを導入し、自社ウェブサイトからの直接予約の促進に力を入れる小規模・独立系ホテルが急増しています。
今は、小規模ホテルや旅館も、OTAに依存した集客から抜け出し、宿泊客に対し直接マーケティングを仕掛けていく時代なのです。
では、小規模ホテルが直接予約を増やしていくためには、具体的に何をすべきなのでしょうか?
そもそも、なぜOTAに依存するべきではないのでしょうか?
この記事では、小規模ホテルダイレクトマーケティングを取り入れるべき理由や、直接予約を促進するためにまずしなければならない4つの戦略、そしてホテル管理システムの重要性について紹介しています。
小規模ホテルが直接予約を促進すべき理由
論理的に考えてみても、ホテル・旅館をはじめ、すべての宿泊施設にとって、「手数料の必要のない直接予約を増やした方が得である」ことは間違いないでしょう。
コスト面だけでなく、たとえばOTAサイトの掲載順位が下がってしまうことで、いきなり収益を失うリスクも考慮しなければなりません。
またOTAのサイトは、希望とマッチしたホテルが検索できなかったり、ポイントの仕組みが複雑だったりで、なかなか予約がしづらいという、ユーザーにとってのデメリットもあり、掲載されているホテルに対してマイナスイメージを与える可能性もあります。
それでもなぜ、多くの小規模ホテルはOTAに依存し続けるのでしょうか?
直接販売は小規模ホテルでも手軽にできる
大手のホテルであれば、手の込んだウェブサイトを制作してOTAに対抗できるかもしれません。
それに対し小規模ホテルは、直接予約を促進するための十分な予算やマーケティング力がないために、二の足を踏んでいるケースも少なくないでしょう。
もちろん、OTAにある程度の送客力があることは確かなので、まったく利用価値がないというわけではありません。
しかし、小規模ホテル・旅館の経営者は、次のような事実にも目を向けてみることをおすすめします。
1.低コストで始められる
自社予約システムを組み込んだウェブサイトは、中小規模ホテルでも手軽に取り入れられる価格のものがたくさんあります。
2.OTAと並行できる
自社ウェブサイトを開いたからといって、OTAのサイトへの掲載を取りやめる必要はありません。
徐々に、自社ウェブサイトからの直接予約を増やしていけば良いのです。
3.OTA以上の集客も可能
適切なマーケティングプランがあれば、OTAを介さなくても、より多くの予約を直接獲得することも可能です。
4.より効果的にホテルをマーケティングできる
ダイレクトマーケティングをすることで、OTAを介よりも効果的に、あなたのホテル・旅館を宣伝できます。
5.お客様からの信頼
第3者を介さずに直接やり取りをすることで、お客様からより大きな信頼を得ることができます。
6.お客様は直接予約を好んでいる
もともと直接予約を好むお客様も多く、直接予約に対して特典を提供することで、そのメリットをアピールすることができます。
直接予約の特典として、次のような特別なギフトの提供を検討してみましょう。
【直接予約の特典例】
- ブランドアメニティのプレゼント
- 無料アップグレード
- ボーナスポイント
- アーリーチェックイン/レイトチェックアウト
- 2名分の朝食無料
最近のホテルは、無料Wi-Fi完備が当たり前になっています。
そのため直接予約の特典として「無料Wi-Fi」を提供するのは、あまりおすすめできません。
自社ウェブサイトがホテルの第一印象を決める
お客様がホテルを予約するまでの過程を考えてみたとき、まず大切になるのが、ホテルのウェブサイトです。
自社サイトから直接予約をしてもらうためには、どのような点に気をつけるべきでしょうか?
もちろん、ウェブサイトの検索順位を上げるなど、露出を増やすことは欠かせません。
しかし、ホテルのウェブサイトを通して、あなたのホテルをお客様にどのように見せるのかも、同じくらい大切なのです。
ホテルのウェブサイトサイトは、いわばあなたのホテルへの「仮想エントランス」です。
つまり、ホテルのウェブサイトで、お客様のホテルに対する第一印象が決まります。
そのドアをくぐったとき、あなたのホテルは、お客様にどのような印象を与えるでしょう?
もしそれが、ひどいデザインで、見にくい構成のウェブサイトだったとしたら、そこから客室を予約する気にはならないと思いませんか?
また、いまだにhttps化されていないホテルのウェブサイトを見かけることが、しばしばあります。
お客様からすると、「安全ではありません」とURLバーに表示されたウェブサイト上で、宿泊予約をするのは不安ですよね。
ホテルの直接予約を増やす4つの戦略
あなたが経営する小規模ホテル・旅館が、直接予約を促進するために十分なマーケティングを行っていない場合、まずしなければならないのは次の4つです。
- レスポンシブ対応のウェブサイトを制作する
- 予約エンジンをウェブサイトに組み込む
- 直接予約のお客様に特典を提供する
- 効果的なマーケティングでホテルの露出を高める
では、ひとつずつ説明していきますね。
1.レスポンシブ対応のウェブサイトを制作する
直接予約を促進するために、小規模ホテルがしなければならないことの1つめは、ホテルのウェブサイトを制作することです。その際に、モバイルやタブレット端末からでも見やすいように、レスポンシブ対応のデザインを採用するのがポイントです!
2.自社予約システムをウェブサイトに組み込む
直接予約を促進するために、小規模ホテルがしなければならないことの2つめは、ホテルの公式サイトに自社予約システムを組み込んで、予約を管理することです。
予約システムのなかには、小規模ホテル向けに作られた、低価格で高パフォーマンスのものがたくさんあります。
予約サイトのURLにリダイレクトされたときに、お客様に少しでも不安な気持ちにさせないよう、ホテルのブランドイメージにあったものを選びましょう。
また、ホテル管理システム(PMS)や、顧客管理システム(CRM) と連携しやすいかどうかもポイントです。
3.直接予約のお客様に特典を提供する
直接予約を促進するために、小規模ホテルがしなければならないことの3つめは、お客様に、OTAよりも直接予約の方がお得だとアピールすることです。
そのためには、特典を提供するのが効果的な方法といえます。
ただし、さきほどもお伝えしたとおり、直接予約の特典が「無料Wi-Fi」のみというのでは、お客様を惹きつけることはできません。
もはやWi-Fiは、客室に水道があるのと同じくらい、スタンダードなサービスとして期待されているからです。
4.効果的なマーケティングでホテルの露出を高める
直接予約を促進するために、小規模ホテルがしなければならないことの4つめは、効果的なマーケティング戦略で、あなたのホテルの露出を高めることです。
あなたのホテルの認知度を上げ、ウェブサイトからの集客を増やすための方法は、たくさんあります。
いくつか例をあげると…
- オーガニック検索(SEO対策)
- リスティング広告
- リファラル・マーケティング
- メタサーチ
- メールマーケティング
- リダイレクト
- リマーケティング
あなたのホテルでは、これまでに、このうちのいくつを実践しましたか?
大手OTAの手数料は、カード決済やポイント付与などの手数料もあわせると、だいたい12%〜15%ほどです。
たとえば、1泊10,000円でOTA手数料を12%とすると、実際にホテルに入るのは8,800円。
直接予約を増やすことでCPAを下げ、その分の収益をアップさせたいですよね。
CPA(Cost Per Acquisition)とは、顧客獲得単価のことで、新規顧客を1人獲得するのにいくらコストがかかるかを表したものです。
ホテル管理システムを活用してリピーターを増やす
直接販売がホテルの短期的な収益アップに直結するのはもちろん、ホテル管理システム(PMS)を活用することで、長期的な増益が期待できるというのも重要なポイントです。
これは、ホテルの規模に関わらず同じことが言えます。
たとえば、1日に予約可能な客室が100室ある場合、いまより20室多く、直接予約で販売することを目標にしてみましょう。
OTA手数料を15%で計算した場合、手数料は1室につき1,500円です。
一方、直接予約でCPAを8%に減らした場合は、1室あたり700円の節約になり、年間にすると、20室で511万円の増益になります!
さらに直接予約で得た顧客情報は、ホテル管理システムの顧客管理機能(CRM)を活用することで、リピーター獲得に役立ちます。
このように、直接予約のお客様がリピーターになることで、雪だるま式にホテルの収益を増やしていけるのも、直接予約の大きなメリットといえるでしょう。
最後に
小規模なホテル・旅館が、直接予約で勝負することは十分可能です。
ただしそのためには、あなたのホテルのブランド価値を高め、露出を高めるための効果的なデジタルマーケティングプランと、自社予約システムを組み込んだ、魅力的なウェブサイトが必要になります。
自社ウェブサイトからの直接予約マーケティングは、OTAサイトへの掲載を続けながらでも取り入れられるので、OTAへの掲載や広告を減らす前に、まずは、この記事でご紹介した1〜4のアドバイスを実践することをおすすめします。
また、直接予約からリピーターを増やしていくために、顧客管理システム(CRM)の機能を持ったホテル管理システム(PMS)の導入を検討してみましょう。
*この記事はUP Hotel Agencyの協力をもとにWASIMILが翻訳・編集を行ったものです。
オリジナル記事:”Smaller Hotels with Big Ambitions“